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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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■ メールマガジン・
・・・・・・バックナンバー第027号

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  ・・・これからの住宅設計・・・      第027号(2007.11.08)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

建築設計、住宅設計に関わる話題を取り上げ、住宅設計者としての経験や理念
をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機会を提供するこ
とを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。



                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘


※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
 誤字等も含めて、記事の訂正が必要な場合は、ホームページ上で修正させて
 いただいています。

                      http://www.commonplace.jp/


■目次

 01 今週のコラム--------------「悪い条件を生かす」
 02 住宅設計入門--------------No.27 空間を仕切る
 03 建築材料めぐり------------No.01 タイル
 04 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉 



///// 01 今週のコラム //////


「悪い条件を生かす」

東京都内ではマンションの設計において、法的許容容積(床面積)をなるべく
使い切るようにデベロッパーから求められます。多くの場合容積を確保する上
で一番問題になるのが日影規制です。建物をつくることにより近隣に日影を規
制時間以上落とさないように高さを制限されます。一律何メートル以下にする
ということではなく、計算は複雑で法的に決められた設定面に影を落とす実時
間で判断されます。ですから細長い建物であれば高くなるし、幅の広い建物は
余り高く建てられません。また影は北側に落ちますから建物の方角を変えるこ
とにより影の落ちる時間を調整することが出来ます。何れにしてもシュミレー
ションを繰り返し、一番容積を確保できる方法を探ります。

多くの計画において、1階から最上階まで同じ形では容積を取りきることは出
来ません。上階に行くほど小さくしていかなければならないことが多く、その
上で住戸プランが成立ち形状的にもまとまっていなくてはなりません。街で見
かけるマンションの最上階が変った形をしているのは多くの場合日影規制をク
リアさせる為です。分譲マンションでは同じ敷地で最上階に1戸増えるかどう
かというのは大問題で、何とか販売できる住戸を成立させるようにデベロッパ
ーから強く求められます。逆に言えばその難題をクリアした設計事務所が仕事
をもらえる可能性が高くなります。ですから設計事務所の担当者は最上階1住
戸成り立たせる為にパソコンにしがみつき悪戦苦闘の上計画をまとめます。

その結果できた最上階の形はなんとも複雑な形になってしまい、本当にこれが
売れるのかと思うことはよくありますが、意外と好評で高値でも早い段階で購
入者が現れることがよくあります。プランを創る側から推測するとセットバッ
クした住戸は下階の屋根部分を広くルーフバルコニーとして使うことが出来ま
す。またプランの奥行が制限されるケースが多いので南側からも北側からも採
光、通風、眺望が得られます。その上同一階の住戸数が少なくなるので独立性
も高くなります。住戸として成立つかどうかわからなかった最上階の住戸が見
事に優良住戸に変身するわけです。

厳しい規制をクリアすることから得られる利益は、それにより生まれた住戸に
限らず建物全体に及びます。最上階の住戸を確保するためにはシュミレーショ
ンを繰り返しに合理的な方位や構造を同時にチェックして行かなければなりま
せん。最上階の柱の位置が変れば下の階から全て変えなくてはならなくなりま
す。建物として成立させる為に工夫を重ねた結果、建物全体が有機的でアトラ
クティブな形状を生み出すことがよくあります。単純な箱型の建物より多くの
時間を掛けて、細かい部分に至るまでチェックをするために意外と安全で魅力
的な建物を生み出すことが多いのです。

頭をかかかえてしうような条件でも頑張って工夫を重ねれば、より良い建物を
創ることが出来ます。これは戸建住宅であっても同じであり、狭い敷地や急斜
面の敷地であっても敷地の特性を上手く生かせば、平らな広い敷地よりも魅力
的な住宅を生み出す余地は沢山あると思います。見掛け重視の世の中ですが、
レッテルを貼る前に欠点を利点に変える強い気持ちが大切です。





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に関するアドバイス
をさせていただきます。

第27回のテーマは「空間を仕切る」

以前、このメールマガジンの中で機能を限定し部屋を細かく分けることは空間
を貧弱にしてしまうというお話をさせていただきましたが、広い空間を仕切る
こと、あるいは間に部屋本来の機能以外の要素を加えることによりその部屋の
表情がガラリと変わることがあります。

例えば、2階にリビングとダイニングを配置する計画でリビングとダイニング
の間を1階玄関ホールの吹き抜けで仕切ります。リビングとダイニングの行き
来は吹き抜けに面した廊下で繋ぎます。リビングとダイニングの吹き抜けに面
する壁は1200ミリ程度の高さにして吹き抜けの明るさを十分感じられるように
し、リビング、ダイニングお互いの様子を伺えるようにすれば程よい連帯と距
離を確保できます。来客の時はブラインドでリビングの壁上部を閉じれば家族
でダイニングを使用することが出来ます。

現在の住宅はリビングルームとダイニングルームを一緒にしてリビングダイニ
ングルームとして計画することが圧倒的に多くなりました。この手法は家族が
集まり寛ぐ空間の理想像を描いたとき、室が広くなり、機能の融合が図られ、
キッチンとの動線もよい合理的な考え方として急速に普及しました。しかしこ
こに客間の要素を取り入れると問題が生じます。リビングダイニングルームは
家族が寛ぎ日常を晒している部分ですから、他人から見れば乱雑になりがちで
す。上記の計画では間に吹き抜けを入れることにより、広々とした空間を維持
しながらプライベートとパブリックのスイッチングに成功しています。

別の例で、昔からよくある和室中心の住宅では和室と外部空間を廊下で仕切っ
ています。中間領域としての縁側の機能については何度か取り上げさせていた
だきましたが、和室自体にもいい影響を与えます。廊下と外部の間にガラス戸
と雨戸がつき、和室と廊下の間に障子がつきます。これにより四季折々朝昼晩
、採光、通風、目隠しの調整を繊細に行うことが出来ます。また和室から庭を
見るとき、廊下を介して庭を見た方が窓から直接見るよりも奥行を感じます。
廊下の外に庇があれば、梅雨時に扉を全開にして家の中から雨の庭を眺めるこ
とができ自然の情緒を空間に取り入れることが出来ます。

空間を上手く仕切ることは、思わぬ恩恵をもたらしてくれます。コツとしては
「繋ぎながら切る」ということでしょうか。身近なところで家具の配置換えを
工夫しただけでも大分違ってくると思います。また家を計画するときは間取り
が決まった時点で満足せず、解体、構成を何度も繰り返すことにより多くの工
夫が発見できるはずです。





///// 03 建築材料めぐり //////

建物と建築材料の関係を考えながら、メーカーのホームページを通じてそれぞ
れの材料を紹介させていただきます。(新連載)


   No01 「タイル」

タイルは建物の仕上材として大変重要な材料です。室内においては水廻りに多
く使われ健康で清潔な日常を維持させています。外装材として用いれば、メン
テナンス上有益であることに加え、多くの種類とパターンから魅力ある外観を
つくりだしています。

タイルの意匠的特長としては目地があることが挙げられます。タイルのような
テクスチャーで全面ツルリと仕上げることは不可能です。タイルを横に張るの
かタテに貼るのか、イモ貼(碁盤目のような貼方)にするのかウマ貼(タイル
を半枚ずらす貼り方)によって大分雰囲気が違ってきます。目地を上手く利用
することがタイルを上手に使うポイントかも知れません。

材料を選ぶ基本知識として大切なことは、タイルの種類には大きく分けて磁器
質、せっき質、陶器質の3種類に分けられ吸水率の大きさが陶器質>せっき質
>磁器質の順になります。外装用及び寒冷地における内装用タイルは凍害を受
け損傷する危険性が高いのでせっき質または磁器質を使用しなければなりませ
ん。カタログには使用条件が出ていますので注意して選択していただきたいと
思います。

タイルの代表的なメーカーはINAXとTOTOです。お互いライバルメーカーであり
優れたタイルを数多く供給しています。特徴的な商品としてTOTOはハイドロテ
クトという光触媒作用を利用したタイルを販売しています。雨と光によって外
壁タイルの汚れを落としてくれる画期的なタイルで広く普及しています。INAX
はエコカラットという湿気を調節し空気を洗浄する内装タイルを販売していま
す。詳しくは下記ホームページを御覧下さい。タイルメーカーのダントーのホ
ームページにはタイルの基礎知識というページが充実しているのであわせて紹
介させていただきます。

タイルを選ぶときはなるべくショールームに行き実物を手にとって御覧になる
ことをお勧めします。印刷物やホームページの写真を見て選択すると実物と大
分イメージが違うことが多いと思います。また蛍光灯の下で判断せずになるべ
く自然光でタイルを見ることも大切です。ホームページを御覧になる場合、ペ
ージ上に現れている情報だけではなくカタログ参照のページに行き御覧になれ
るカタログをよく見ること、専門家のページを見るとより詳しい情報が得られ
ることを加えてアドバイスさせていただきます。



INAXタイルのページ http://www.inax.co.jp/products/tile/

INAXビジネスユーザー タイルのページ 
          http://iinavi.inax.co.jp/products/tile/

INAXエコカラット  http://ecocarat.jp/

INAXタイルパターンデザイン「20人のデザイナーによる50のタイルパターン」
          http://inax.jp/50tile/

TOTOタイル・建材商品ラインナップ
       http://www.e-seikatsutoto.com/tilehouse/product/top.htm

TOTO TILE HOUSE ハイドロテクト
       http://www.e-seikatsutoto.com/tilehouse/index.html

ダントー株式会社  http://www.danto.co.jp/index.html





///// 04 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家、恩師、仕事仲間や書籍等のなかで印象に残った言葉
を紹介させていただきます。


    「身に着けた技術で生きていく」

建築家の場合、仕事に趣味、趣向、信条が関わる部分があり、またスケッチを
描くこと図面を描くこと自体に面白みを感じ一日中作業していても飽きないと
いう人は沢山います。だから多少仕事がきつくても、給料が安くても仕事を続
けられるということはご理解いただけると思います。

私が大学を卒業して設計事務所に勤め始めた頃に出会った、ある設備事務所の
技術者の労働条件と給料を聞いてその厳しさに驚いたことがありました。その
設備事務所は最大手と言ってよく業界の中では名前を知らない人はいないよう
な事務所です。その上日本中の殆どの人が知っているような建物を担当をして
いました。「エリート中のエリートがこのような条件では、一生懸命仕事をし
ても将来の夢を思い描けなくなってしまう。」と私が働いていた設計事務所の
部長に零すと、部長は「技術者が身に着けた技術で生きていくことは幸せなこ
と」と諭されました。

当時、まだ食べていけるほどの技術を身に着けていなかった私とって身にしみ
る言葉でした。単純に他人には出来ない技術を身に着ければ、他人よりいい生
活が出来ると思っていた私はとても恥ずかしい気持ちになりました。待遇を気
にするよりも生きていけるだけの技術を身に着ける方が先決です。専門的な技
術を見に着けそれで生活が出来れば、仕事をしながら知識は増えるし興味も湧
いてきます。技術を身に着けている時は厳しい日々が続きますが、技術を身に
着けることにより、技術を使い人を喜ばせる楽しい日々に変ってきます。いつ
の間にか仕事が好きになり、その結果好きなことをやって生きていくことが出
来ることになります。

最近はどうかわかりませんが、20年ほど前は若い半人前の技術者は給料も安く
土日も仕事に出るような状況だったようです。特に一流といわれるような事務
所(会社)ではその傾向が強かったと思います。多くの人が挫折し離れて行き
ますが、残った者は好きなことをやって食べていけることになるわけです。

建築家の仕事は必ずしも技術者と一致しませんが専門的な仕事には変わりなく
同じような道を辿ります。私も何とか仕事が好きになることは出来ましたが、
建築家ゆえにそれで食べてゆけるかどうかは未だにわかりません。別の言い方
をすれば創造性のある仕事で食べていけないのなら建築家ではないといえるか
もしれません。建築家になれない私は身に着けた技術に食べさせてもらってい
ます。





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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                   http://www.commonplace.jp/
                     
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【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘           masahiro ikezawa
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