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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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■ メールマガジン
・・・・・・・バックナンバー第001号

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  ・・・これからの住宅設計・・・      第001号(2007.04.02)
               
   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio

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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

耳寄り情報やお買い得情報は余り掲載できないと思いますが、住宅設計者とし
ての経験や理念をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機
会を提供することを目指しています。

購読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か
新いことを発見していただければ幸いです。

                       コモンプレイス スタジオ 
                        代表    池澤 雅弘



■目次

 01 今週のコラム------------建築に関わるひとりごと
 02 住宅設計入門------------No.1 扉の開き勝手
 03 マンションの完成まで----No.1 敷地が決まるまで
 04 建築の本棚--------------建築の本の紹介
 05 師の言葉----------------心に残った建築に関わる言葉



///// 01 今週のコラム //////

創刊号でありますので、私の建築設計姿勢の基本となった考え方を紹介させて
頂きます。

私は大学を卒業した後、建築家小野正弘先生の事務所でお世話になりました。
先生の設計に対する情熱に身近に接することが出来、当時身に着けたことが今
の自分にとって大切な礎になっています。

知識とスキルは技術者にとって大切なものですが、それよりも精神的な部分の
方が一生を通じて役立つと思います。小野先生は建築に対して絶対諦めない人
でした。窮地に立っても、作品にとって良いと思ったことはやり抜く人です。
自分が良いと思ったことは遠回りしてもやり抜くことが、設計者にとって大切
なものであることを学びました。

施主の要望はとても大切で最優先されなければならないものです。しかし設計
者がしっかりした考え方をもって施主に対応しなければ、本当の意味で施主の
要望は生かされていないのです。その折衝がない建築には生命が宿りません。
多くの建築家はその過程を当り前と思っていますが、ハウスメーカーやマンシ
ョンディベロッパーは事業最優先となり、名の通った建築家に依頼するときも
、デザインメソッドだけを取り入れて空間のあり方に対する折衝は行わないの
が通例です。不特定多数の顧客に対して、販売し利益を上げるというシステム
の中で無理な部分もあるでしょう。私も多くのマンションの設計を担当してき
たので理解できますが、20年たっても小野先生の気概は私の中で生き、理想と
現実の間を彷徨い続けています。ただ先生から頂いた勇気のおかげで、苦しい
とき辛いときを乗り越えることが出来ました。そして遠回りしてもやり遂げる
姿勢というのは、どんな仕事にも通じることだと思います。





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に対するアドバイス
をさせていただきます。

今回のテーマは「扉の開き勝手」

廊下から居室(洋室、寝室等)に入る場合、通常内開き(居室側)に開くよう
にします。これは廊下に向かって扉が急に開くことを避けるためで、人がいな
い部屋(倉庫等)は外開きにして室内を広く使えるようにします。例外は便所
でお年寄りが倒れたりする場合を想定して、扉が開けられるように外開きにす
るのが一般的です。(内開きだと部屋内で扉にもたれかかられると扉が開か無
くなります)室面積が狭いことも理由に挙げられるでしょう。

吊元は扉が付いている壁と直角方向に立つ壁の直近に設けるのが理想です。扉
を開けたとき壁に平行に並び、戸当りもつけやすく部屋が広く使えます。注意
をようするのはスイッチを隠さないようにすることです。スイッチを扉に平行
な壁の引き手側(吊元に対してレバーハンドル側)の脇につけるか、上手く行
かない事情がある場合はスイッチを優先して吊元を逆にするべきです。(スイ
ッチを廊下側に出すこともあります)また部屋の真ん中に入口を設ける場合、
どちらを吊元にするか悩むことがありますが、この場合私は右利きの人が多い
ことを想定して、引き手が向かって左側(居室内から見て向かって左側)にな
るようにします。そうすると右手でレバーハンドルを引いたときに体が自然に
開く側に動きます。左利きの人が利用することが決まっていれば逆のほうがよ
いでしょう。

玄関扉は少し考え方が違ってきます。まず防犯的には戸当りがデットボルト、
ラッチボルト隠すので内開き(室内側に開く)が有利です。しかし雨仕舞い的
には扉を伝わる雨水が室内に入るので内開きが不利になります。最近の住宅は
玄関が狭いこともあり、一般的には外開きが多いと思います。吊元の位置は引
き手が左側になるようにすることが多いですが、新聞受けやインターホンの位
置なども関わり一様に決められません。特にマンションの対称プランは吊元も
線対称にして逆にすることが多いです。



///// 03 マンションの完成まで //////

アトリエ事務所から集合住宅を中心に設計を行っている事務所に移りました
が、そこでの15年の経験から、マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事
を、設計事務所の立場から紹介させていただきます。マンションはどうやって
できるのか、どれだけの作業が必要なのかご理解いただければ幸いです。


「敷地が決まるまで」

マンションディベロッパーが最初に手がけるのは土地探しです。土地が無けれ
ば当然何も建ちませんから当たり前の話ですが、これがとても重要で条件のい
い土地を手に入れれば、利益が保障されたと言っていいでしょう。そこでディ
ベロッパーの担当者は設計事務所にボリュームチェックの依頼をします。

多くの場合この作業は無料ですが、ディベロッパーがこの土地の開発を始めた
場合、かなりの確率で設計の仕事を受注できます。設計事務所はその土地に掛
かってくる法規制等を調べその土地にどの位の容積(延面積)が確保できるか
検討を重ねます。東京の場合は法定容積率いっぱいの容積を要求するので、こ
れが7割から8割程度であればまず手を出しません。荒っぽく法規を当てはめて
8割5分ぐらいいくと何とかして10割を目指します。建物として成立させつつ、
少しでも容積が取れるようにすることに悪戦苦闘するわけです。多くの場合日
影規制が最も厳しいので、上部階をセットバックさせながら階数を増やして行
くといったシュミレーションを重ねます。

何とか容積を確保できたら、次は住戸を割り振ります。何平米の住戸がどの位
できるか、バラエティにとんだタイプが出来るか等販売しやすい計画を提案し
ます。勿論途中でディベロッパーのチェックが入り要望に沿うように修正を加
えていきます。大体条件が揃った頃、稟議にかけるので計画案として一式にま
とめてくれといわれれば、ほぼこの仕事を受注できます。仕事にならないとき
は電話で「あそこは止めましたから」と連絡が入って終わりです。またかなり
頑張ってディベロッパーもその気になっていても、入札で負けて土地が手に入
らないこともあります。

仕事を受注出来た状態の計画ではまだまだ荒っぽい計画なので、これからが本
当の設計作業になります。次回は基本計画から事前申請までをご紹介します。




///// 04 建築の本棚 /////

建築に関わる仕事をしている以外の方でも、楽しんでいただける建築関係の本
を選んで紹介させていただきます。

今回紹介させていただく本は

           「住宅の射程」 TOTO出版 1600円+税

この本はギャラリー・間20周年記念展「日本の現代住宅1985-2005」と共に開
催された連続講演会「21世紀の住宅論」の記録です。参加した建築家は磯崎新
、安藤忠雄、藤森照信、伊東豊雄です。講演の記録ですので話し言葉で、大変
解かりやすく書かれています。

この本を読むと、20世紀の後半建築家がどの様な考えで建築を創ってきたかよ
くわかります。最初の磯崎新さんは結構厳しい話をしています。磯崎さんは
1960年代から建築思想をリードしてきた人ですが、論ずるばかりでなく作品を
多く残してきたという矜持を感じます。

伊東豊雄さんは中野本町の家という傑作がありますが、これは既に壊されてし
まいました。施主である姉家族が望んでそうなったらしいのですが、「素晴ら
しい住宅であればあるほど状況と共に消える運命にあるのか」と感じました。
解体までの様子も書かれています。そして「閉ざされた建築から外に向かう建
築」としてこれからの建築を予測する形で結んでいます。

安藤忠雄さんの話も、藤森照信さんの話もとても面白くためになります。是非
ご覧ください。




///// 02 師の教え /////

私が実際に接した建築家や書籍のなかで印象に残った言葉を紹介させていただ
きます。


「都市を観るなら早朝か夕暮れ時がよい」

これは学生時代に建築家大谷幸夫先生がおっしゃっていた言葉です。この言葉
通りの実体験があったのですんなり私の中に入ってきました。

都市は深夜も眠りません、しかし早朝少しの間だけフッと息を抜くような時間
帯があり、朝もやの中空が明るくなり始め、静まり帰った都市に光が差し込む
様は、コントラストがはっきりして凛として美しく感じます。勤めてからはよ
く事務所で徹夜をしたのでこの感覚に触れる事はよく在りました。

夕暮れ時は逆に、人が多く活気に溢れています。しかし柔らかい光の中にビル
の規則正しい窓の明かりが浮かび上がってくる様はとても美しいです。朝とは
逆に人の気配の美しさと言えるかもしれません。

読者の方々もちょっと意識して、早朝と夕暮れ時の都市を楽しんでみてはいか
がですか。


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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。
 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形 で家作りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                     http://www.commonplace.jp/
         

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【発 行】コモンプレイス スタジオ  commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘          masahiro ikezawa

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