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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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■ メールマガジン
・・・・・・・バックナンバー第018号

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  ・・・これからの住宅設計・・・      第018号(2007.08.08)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

建築設計、住宅設計に関わる話題を取り上げ、住宅設計者としての経験や理念
をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機会を提供するこ
とを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。



                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘


※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
 誤字等も含めて、記事の訂正が必要な場合は、ホームページ上で修正させて
 いただいています。

                      http://www.commonplace.jp/


■目次

 01 今週のコラム--------------「ものづくりの本質とは」
 02 住宅設計入門--------------No.18 住宅の中の危険回避
 03 マンションの完成まで------No.18 工事監理-メーカー施工図
 04 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉 



///// 01 今週のコラム //////


「ものづくりの本質とは」

8月1日に作詞家の阿久悠氏が亡くなり、昭和がまた遠くなった感じがしてとて
も寂しい気持ちになりました。「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)、「どうに
もとまらない」(山本リンダ)、「先生」(森昌子)他、多くののヒット曲を
世に送り出しました。作詞曲のリストを見ても、歌詞を口ずさめる曲が殆どで
す。活躍された時期が、自分の小学校から高校時代と重なります。当時毎日の
ようにテレビのゴールデンタイムに歌謡番組が放送され、大衆の支持を集める
スターが沢山存在していました。

当時は、多くの人が同じものを見て感動していたように思います。今は価値観
が多様化していて本質が見えなくなって来てしまっているような気がします。
阿久さんはヒットを生み出すプロで、試行錯誤を重ね大衆に受け入れられるも
のを創り上げてました。その時代を上手く表現すると同時に新しい感動を創り
だしています。最近の歌番組やドラマを見ても、重要なことは既に決まってい
て、末端部分を少し変えて繰り返し使っているような印象があります。本質を
いじるより、テクニックでバリエーションを増やすほうが重要視されます。本
当に新しくそして人の心に届くようなものは無くなってきているのではないで
しょうか。今まで存在していなかったものがパット表れ、それが短期間で世の
中に浸透していくようなダイナミックな変化は感じられません。

当時の一般的な住宅デザインが優れていたとは思いませんが、建築家は新しく
個性的なものに挑戦していました。こんな家に住めるかというような住宅でも
、結構楽しくその後30年近く使い続けているような住宅は数多くあります。今
は消費者優位の時代ですから、同じような住宅を創ったら損害賠償を請求され
るかも知れません。

問題が生じないプロセスを踏み、尚且つ目を引くデザインを提供するのに必要
な資質はスタイリスト的な能力だと思います。常識的なラインを維持しながら
素材や色の変化を組み合わせて美しくまとめ上げる能力です。マンションでも
設計自体は通常と殆ど変らないのにデザイナーが入ってきて外観を決めること
が行われています。購入者は、本質的には変っていないのに、上手くお化粧し
ている住宅をみて外観に惹かれて購入を決めます。(スタイリストが心地よさ
を提供していることは確かですが)

価値観の多様化は自分が何を求めているのか解からなくしてしまうようです。
本当は日常重視の価値観を持っていても、多くの誘惑に判断力を見失ってしま
う部分があると思います。もっと設計者や施工者、販売者と交わりを持って理
想を探る必要があるのではないでしょうか。

歌謡曲はヒットさせなければなりません。建築も使いやすく丈夫で美しくなけ
ればなりません。それには多くの工夫が必要ですが、一過性の工夫か、人の心
に直接繋がるような本質を捉えた工夫か判断する必要があると思います。世の
中にその意識が高まれば、「ものづくり」の世界が変って来るのではないでし
ょうか。


阿久悠オフィシャルホームページ
http://www.aqqq.co.jp/





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に関するアドバイス
をさせていただきます。

第18回のテーマは「住宅の中の危険回避」

マンションを設計すると、施主から多くの危険回避事項が示され、それに従っ
て設計を進めなければなりません。今回はその中から幾つかご紹介したいと思
います。マンションの場合は入居者が特定していない状況で設計をしますので
、全ての方に当てはまるものではありませんが参考にしてください。

1.レバーハンドル、キッチンカウンター等の角を丸くする。
小さなお子さんが、ぶつかったとき大怪我にならないように必ず角を丸くしま
す。レバーハンドルも角が丸くなっているものを選びます。階段の手すりの先
端も同様です。またバルコニーの手摺の小口などで手を切らないようにヤスリ
で角を落としてもらいます。巾木の角なども尖っていることがあるので注意が
必要です。

2.バルコニーの手摺に桟は縦桟にしてその間隔は有効110ミリ以下とする。
バルコニーに横桟を用いると、子供が足を掛けてよじ登り転落する可能性があ
ります。また物干し金物で竿を付けたまま収納した場合、竿の高さが問題にな
ります。あまり低い位置にあると足がかりになり同様に危険です。縦桟の間隔
は子供の頭が通らないように、有効110ミリ以下にするように指示されます。

3.エントランスホールの床は滑らない材質を使用する。
御影石の本磨きなどを使いピカピカに仕上ると、雨で濡れるとツルリと滑りま
す。見栄えが悪くなってもざらざらした仕上げにするように指示されます。折
角石を用いても全体をざらざらにすると見栄えが良くないので、歩く部分を模
様上にざらざらの仕上げを用いたりして工夫をすることが多いです。最近は液
状の滑り止めがあり、本磨きの床に塗れば見栄えは良くなりますがこれを用い
ると数年に一度塗り替えが必要になります。完成後に指摘された場合などで用
いることがあります。

4.アルミサッシには手挟み防止機能をつける。
サッシを勢いよく開けたときに手前の障子と完全に重なる前にサッシが止まり
、手挟みを防止する機能です。特に高層マンションでは耐風圧の関係でサッシ
の重量も重くなっている為力を入れて開け閉めするので必要性が高まります。

5.敷地境界線上の塀の高さは外部から180センチ以上にする。
日本では塀の高さは180センチ以上と言う認識があるらしく、泥棒に入られた
場合に180センチの塀を設置していれば問題視されず、これが175センチだと問
題になるそうです。現実的にはもう少し高いほうが良いと思います。エントラ
ンス周辺など重要なポイントでは「忍び返し」を用いることもあります。

代表的な項目を挙げさせていただきましが、これらは工務店に一言いえば対応
してしてもらえることだと思います。また竣工検査の際注意する部分でもあり
ます。ただ小さなお子さんがいないご家庭などは、必ずしも必要にならないこ
とだと思います。法規に反しない限りデザインを優先しても良いかもしれませ
ん。


滑り止め溶剤:株式会社サンフライト
http://www.sunflight.jp/index.htm

忍び返し:大栄線業株式会社
http://www.daieisengyo.co.jp/sinobi.htm



※配信させていただいたメールマガジンにおいて、「2.・・・竿の高さが問題
になります。余り高い位置にあると・・・」は「余り低い位置にあると・・・」
の誤りです。大変申し訳ございませんでした。通常足掛かりにならない位置ま
で高さを確保します。なるべく高いほうが良いのですが、一般的には最低700
程度確保する必要があります。また注意しなければならないのは、周囲に植木
鉢などを置いた場合、それが台になって高さを確保した竿に足を掛けられ大変
危険です。出来れば竿を抜くことをお勧めします。





///// 03 マンションの完成まで //////

マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事を、設計事務所の立場から紹介
させていただきます。マンションはどうやってできるのか、どれだけの作業が
必要なのかご理解いただければ幸いです。


   No18 「工事監理-メーカー施工図」

マンション建設工事の現場監理をして行く過程で、多くの建材機器メーカーか
ら図面が出てきます。アルミ建具、スチール建具、木製建具、家具、システム
キッチン、ユニットバス、洗面化粧台、アルミ手摺、エレベーター、機械駐車
場等です。基本的にこれらの図面全てチェックして確認印を押してから製作が
始まります。以前は設計事務所の印が無いとメーカー側も動かなかったのです
が、10年ほど前から建設現場所長の承諾があれば製作を始めてしまうようにな
ってきました。

詳しくは解からないのですが、丁度その頃施工図の承認は契約行為であるため
、承認印を押した図面一枚一枚に税金がかかるという判断が下されました。一
枚にかかる税額はわずかですが、枚数が多量の為相当の金額になります。そこ
で業界の代表者が話し合い、図面を確認したことを示す印鑑を押して変更指摘
がないまま規定日数が経過した図面は承認と同様の意味を持つことを決めまし
た。設計事務所は責任感から承認出来る状況でなければ確認印は押しませんが
、製作許可を示す承認印と一通り図面を確認した意味を持つ確認印では受け取
る側の重みが違うのでしょうか。製作物ができていなければ工事がストップし
てしまうので、工程が押し迫っている状況では所長の判断による見切り発車は
ある程度仕方が無いのかも知れません。勿論、常識ある建設会社は問題が発生
すれば責任を持って対応します。

製作開始が可能といっても、現場所長も責任が自分にかかってくるので設計事
務所のチェックを重視します。ですから各工程で必要になった時期に大量の図
面が届けられチェックすることには変りません。一番チェックが大変なのはア
ルミサッシ図です。とにかく枚数が多く、以前紹介させていただいたタイル割
りにより、寸法が変更になっているので一枚一枚チェックが必要です。また出
窓、トップライト等の特殊サッシは納まり寸法も確認しなければ、現場に運ば
れてきても取り付けることが出来なくなってしまいます。

施工図がCADで描かれるようになってから、サッシの施工図の枚数が増えまし
た。通常、コンピューターを使うのだから、情報が整理され図面枚数が減ると
思われますが、手描きの場合は作業量を少なくする意味でも、形状ごとに整理
して寸法表を作り出来るだけ図面枚数を減らす工夫をしていましたが、CAD図
面はコピーが容易なので、形状ごとに整理せずに1箇所1図面を描いてきます。
また以前は現場に原図を持ち込み修正をしてきましたが、CADの場合データー
はコンピューターの中なので、例えば200枚の図面中、30枚に訂正を入れて返
却すると修正してまた200枚渡されます。これを3・4回繰り返してようやく完
了です。手元には図面の山が残ります。この辺は効率の良い方法を考えていか
なくてはいけないでしょう。

建設会社も施工に問題が無いように確認していますが、設計事務所がチェック
することにより施工精度が上がります。例えば寸法誤差をシールで調整します
が、その幅を小さくし見栄えが良くなるチェックを加えます。建設会社として
は寸法を大きく括ったほうが、施工しやすいのですが、設計事務所は許される
限りその場所にあった寸法にしようします。建設会社は迷惑かも知れませんが
、立場が違うものがチェックすることにより、建物の価値を高めることが出来
るわけです。

工場製作をするメーカー施工図は寸法の間違いは許されません。躯体工事、仕
上工事に影響を与え、工期的にも重要なポイントになるのでしっかりした対応
が必要です。メーカー施工図のチェックが終わると、図面確認作業はほぼ完了
です。


次回は内装工事を紹介させていただきます。





///// 04 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家や書籍のなかで印象に残った言葉を紹介させていただ
きます。


    「接することで何かを得てもらえばよい」

この言葉は建築家小野正弘先生から言われた言葉です。大学を卒業してアトリ
エ事務所に勤めることは自分の目標であったわけですが、勤めてみると具体的
に何をどうすればよいか解からなくなることがありました。ただ建築家である
小野先生と長い時間過すことが出来ることは確かで、そこから何を学び取らな
ければならないのか当時の自分には解からなかったことを思い出します。

技術的なことを習得する為であれば、大きな事務所に勤めて与えられた仕事を
一生懸命やれば身につきます。生活も安定しますし、アトリエ事務所に居る意
味が解からなくなることもありました。ただこの言葉は居る意味があるか無い
かは本人次第ということを教えてくれています。

小野先生の事務所に入り、半年もすると住宅の建具廻りの1/5詳細図を描かさ
れます。そこには先生の作品の重要なポイントが含まれていて、雑誌に載って
いる図面を漠然と見ているだけでは読み取れない要素が含まれています。先生
の人間性を理解しないと徹底できない部分もあり、詳細が作品全体に与える影
響を教わりました。

最近独立し一人になって、先生の人間的な強さを感じるようになりました。先
生から離れて長い年月が経過しますが、未だに教えてもらうことが沢山ありま
す。当時は感じなかったことが今わかり始めることもあるし、もっと違った接
し方が出来たのではないかと後悔することもあります。先生の薫陶を受けたも
のとして、笑われないようにこれから努力を続けてゆきたいと思います。


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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                   http://www.commonplace.jp/
                    
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【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘           masahiro ikezawa
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