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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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・・・・・・バックナンバー第022号

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  ・・・これからの住宅設計・・・      第022号(2007.09.06)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

建築設計、住宅設計に関わる話題を取り上げ、住宅設計者としての経験や理念
をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機会を提供するこ
とを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。



                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘


※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
 誤字等も含めて、記事の訂正が必要な場合は、ホームページ上で修正させて
 いただいています。

                      http://www.commonplace.jp/


■目次

 01 今週のコラム--------------「散歩のすすめ」
 02 住宅設計入門--------------No.22 階段の基本 
 03 マンションの完成まで------No.22 工事監理-竣工検査 1
 04 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉 



///// 01 今週のコラム //////


「散歩のすすめ」

住宅を建てようと思っている方は、建築雑誌を購入したり、ハウスメーカーか
らパンフレットを取り寄せて情報収集をしていると思います。しかしそこから
は実際に生活している姿は感じ取れないのではないでしょうか。また建築は完
成したときがスタートでそこから数十年住み続けます。一部の特集を除き時間
的経過を建築雑誌から読み取ることは出来ません。

建築を実感するのは、建築を実際に見ることが一番効果的です。ですから住宅
を建てる際メディアから収集できないことは実際に見ることが大切です。有名
な住宅を見て回るのも良いのですが数多く見ることは困難ですし、条件が整っ
ている状況で建てられているものが多いので、参考になる部分が少ないかも知
れません。それよりご近所の住宅の方が事例も多彩で一番参考になると思いま
す。特に屋根の形状や玄関廻りのつくりかたなどは外部からもよく見えるので
多くの発想が思い浮かぶのではないでしょうか。建築雑誌等である程度の知識
があれば屋根の形状、玄関の位置、バルコニーの位置、窓の位置等により大体
のプランを想像することは出来ると思います。

そうは言っても、人の家を時間を掛けて見学していては警察を呼ばれてしまい
ます。また家主に見せて下さいとお願いしても、今の時代断られることが多い
と思います。そこで散歩のコースを幾つか決めて、気になる住宅を歩きながら
少しずつ観察することをお勧めします。頭の中に印象付けてもいいし、帰宅し
てからメモを書いても良いと思います。続けていく内に、自分が理想とする住
宅のイメージが段々出来てくるはずです。さらに、住宅は四季折々情景が違い
季節ごとに色々な発見があります。また時間帯、天候によっても違った印象を
受けます。散歩をすることにより、これらを日常的に観察し生活を思い描くこ
とが出来ます。

私は仕事に疲れると近所を1時間ぐらい掛けて散歩します。阿佐谷にはまだ古
い住宅も多く残っていて、今は使われていない建築材料を見つけたり、大工の
創意工夫を感じることが数多くありとても楽しい時間です。アルミサッシに取
って代わられ殆ど使われなくなった木製の窓、細い角材を組んだ庇、都市部に
おいて新築の建物では法規上使うことが出来なくなってしまった板張りの壁な
どは時間の経過と共に味わいが出てきて見ていて気持ちが和みます。現在でも
参考になることも多くとても勉強になります。歩いているときは物思いに集中
できるので、「見ては考える」の連続です。

先日、雨の中を散歩に出かけましたが、奥行きのある場所に玄関がありそこか
らの灯りがとても柔らかく美しく感じました。住宅には日常の何気ないことが
とても重要な意味を持つことを再認識させられました。





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に関するアドバイス
をさせていただきます。

第22回のテーマは「階段の基本」

階段は2階建の住宅では必ず必要になるものであり、設置する場所により計画
に大きな影響を及ぼします。無くてはならないものだけに、なるべくコンパク
トに納めたいとか、階段下部を収納にしたいという要望も生まれてくると思い
ます。今回は住宅の階段に関する基本的な事柄を紹介したいと思います。

建築基準法上、階段の巾:750ミリ以上、蹴上げ:230ミリ以下、踏み面:150
ミリ以上にしなければなりません。廻り階段は踏み面の狭い方の端から300ミ
リの位置で踏み面150ミリ以上必要になります。また手摺は必ず付けなければ
なりません。法基準ギリギリだととても急な階段になりますから、常識的に
は蹴上げ200ミリ程度以下、踏み面220程度以上を最低ラインで考えるのが良い
と思います。

階高を2800ミリと考えると、2800/200で14段必要になります。踏み面は段数マ
イナス1となりますので13面必要です。直通階段であれば220かける13で2860ミ
リあれば階段を設置できます。回り階段であれば4踏み面直通で上り、5踏み面
で回り、4踏み面直通で登りきるようにすると1820ミリかける1820ミリの中に
階段が納まります。一般的に最もコンパクトに階段を納める方法です。階段の
巾は750ミリ確保しなければなりませんが、手摺をつけた場合は壁から手摺の
出寸法が100ミリ以下であれば手摺がないものとして階段巾を算定します。

階段周囲が吹き抜けになっている場合は問題ないのですが、なるべく2階の床
面積を多く取る為に階段上りは始め上部の床を下部階段部分にかぶせていると
、階段を下りるときに梁に頭をぶつけることがあり危険です。断面図を描いて
検討する必要があります。

階段の下部を収納にする場合、階段の両サイドに高さ350ミリ程度の側桁が必
要になりますので、扉の高さが低くなることに注意しなければなりません。こ
れも図面を描かないと解かりにくいと思いますが、四角い扉の角を斜めに上が
る桁の低い位置にあわせるので結構低くなります。扉上部の形状を斜めにする
と大きく綺麗に納まります。

構造をデザインに取り入れたい場合、力桁(ちからげた)階段にすることがあ
ります。力桁階段とは段板の中心に力桁を入れて階段を支える方法で、基本的
に1本の桁と段板だけで構成されます。法的に手摺が必要になりますが、それ
を入れてもとても開放的な階段です。力桁は巾150ミリ程度の厚物を用い、ボ
ルトで段板を固定します。段板の厚さも必要で、余り巾を大きくすると構造的
に無理が生じます。また力桁階段は直通階段としなければなりません。

開放感のある階段を求めるのであれば、透し(すかし)階段にする方法もあり
ます。側桁と段板の構成で、蹴込板をつけません。正面から見ると階段の向こ
う側が見えるので開放感がある空間を演出できます。鉄骨を使用してよりシャ
ープな階段にすると効果的かも知れません。

階段は機能的にも意匠的にも計画的にも重要な位置を占めます。機能性と意匠
性を兼ね備えており、出来れば目に付く位置に自慢の階段を計画していただき
たいと思います。





///// 03 マンションの完成まで //////

マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事を、設計事務所の立場から紹介
させていただきます。マンションはどうやってできるのか、どれだけの作業が
必要なのかご理解いただければ幸いです。


   No22 「工事監理-竣工検査 1(官庁、審査機関)」

マンションの工事が完了すると、建物を使用開始する為に完了検査を受けて検
査済証を取得しなければなりません。建築基準法上、検査済証取得のための完
了検査は建築確認申請を提出した特定行政庁または審査機関(以降、確認提出
先と表記)によって行われます。また、それに先立ち消防署の検査に合格しな
ければなりません。確認提出先の検査と前後することはありますが、消防の同
意を以って建築確認済証を発行しているので、基本的に消防の検査に合格しな
ければ検査済証を取得できません。

その他に市役所、区役所等から多くの行政指導を受けていますので下水道課、
環境緑地課、清掃課、道路管理課、都市整備課等管轄部署の検査を受ける必要
があります。こちらは建築確認申請上の検査済証取得と直接関係ありませんが
、使用開始までに合格していないと指導を受けます。分譲マンションでは入居
者に迷惑を掛けることになるので確実にクリアしておかなければなりません。
また建築の条件よりこれに加え東京都の緑化条例他、都道府県や警察署等の検
査を受ける必要がでてきます。

確認提出先の検査は確認申請図の通りに建物が完成しているか検査をします。
法律に関わる部分は注意深く工事を進めているので、大きな問題になることは
少ないのですが、まれに避難経路上の突出物による幅員不足、避難階段に面す
る開口不可部分の換気口設置等の指摘を受ける場合があります。複数の図面を
照らし合わせないと判断し難い部分なので十分注意して施工しなければなりま
せん。また火災延焼防止の防火設備(主に網入硝子)防火区画の為の防火戸が
的確な仕様になっているかどうか慎重に確認します。人の命に関わる部分は厳
しく検査されます。

一番指摘されることが多いのは、未完成部分についてです。原則として完成し
ていなければ検査は受けられないのですが、予め検査の日程が決まっているの
で部分的に間に合わないところが出てきてしまうこともあります。手摺や庇が
付いていなかったりすると法規違反になることもあり、写真で後日報告しなけ
ればなりません。当然報告が済むまでは確認済証は取得できないことになりま
す。

消防署の検査は防火扉や火災報知器の作動、屋内消火栓連結送水管等消火設備
の設置、避難誘導灯の設置位置と仕様、避難ハッチなどの非難器具の作動と設
置場所、防火区画貫通部分の仕様、消火器の設置位置等の確認が行われます。
図面を提示した上で工事を行いますので大きな問題になることは少ないのです
が、実際に現場を見て誘導灯が見えにくかったり、避難ハッチ使用時に物干し
が障害になるという指摘はうけることがあります。また規模が大きくなると、
はしご車の寄り付き場所の設置、防火水槽の設置等の検査が加わります。

市役所、区役所等の検査は全体をまとめている窓口の部署が各担当者を集めて
検査をすることもありますし、部署ごとに検査をすることもあります。何れに
しても工事完了届を提出すると検査を受けることになります。分譲マンション
の場合には遅くても引き渡し前に全て合格しなければなりません。

どんなに建物がきれいに出来ていても、検査に合格して検査済証を取得しなけ
れば使うことは出来ません。取れて当たり前のことですが、検査期間中は設計
事務所は緊張する日々が続きます。検査当日の段取りが悪かったり、検査官の
質問に的確に回答できなかったりすると、検査官の心証を害し想定外の指摘を
受けることもあります。法律には数字で判断できないことも多く、そのときの
印象で結果が変ります。壊して直すことは建物にとって決してよいことではな
いので、通例の判断をしてもらえるように準備を怠らないようにするのはとて
も大切です。

次回は竣工検査 2(施主、設計事務所)を紹介させていただきます。





///// 04 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家や書籍のなかで印象に残った言葉を紹介させていただ
きます。


    「自分の家を造るように造る」

この言葉は、私が一緒に仕事をした幾つかの建設会社の現場所長から聞きまし
た。若いときに先輩から指導されたと話していましたが、今でも同じような教
育をしている会社は多いと思います。自分の家を自分で造れば結果は必ず自分
に返ってくるので手を抜くことはありません。建設会社は施主と請負契約を交
わしますから、少々の困難があっても完成させた建物を施主に引き渡さなけれ
ばなりません。また完成した建物に問題があれば、責任は会社が取らなければ
なりません。大切な財産を預かる上でも「自分の家を造るように造る」という
心構えはとても大切だと思います。

この言葉を設計事務所にあてはめて、「自分の家を設計するように設計する」
という言葉を施主が聞いても喜ばないような気がします。設計料を払っている
のに自分の好きなようにやられては困ると思われるのではないでしょうか。著
名な建築家の中には自分の創造的能力を発揮させる為に、施主の話をなるべく
聞かない建築家も居りますが、頼む方もある程度それを理解しているから問題
にならないのであって、立場が確立していないものには通用しない行為でしょ
う。また逆に「施主が考えているような家を設計する」と言っても頼んだ甲斐
がないと非難を受けるかも知れません。建築の設計は何もない状態からスター
トしますから、価値の特定が難しい仕事です。施主の為になると思って一生懸
命に仕事をしても非難を受けることもあります。

最初は施主の話を良く聞いて、その理想からスタートして色々なアイディアを
加えて変えて行くのが良い方法だと思います。あるいはイメージだけで形にな
っていない理想を設計者を通して形にしていくやり方もあります。何れにして
も良い家をつくる為に一番必要なのは「相手に対する良心」であり、それは建
設であっても設計であっても同じです。


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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                   http://www.commonplace.jp/
                     
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【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘           masahiro ikezawa
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