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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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・・・・・・バックナンバー第025号

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  ・・・これからの住宅設計・・・      第025号(2007.10.11)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

建築設計、住宅設計に関わる話題を取り上げ、住宅設計者としての経験や理念
をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機会を提供するこ
とを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。



                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘


※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
 誤字等も含めて、記事の訂正が必要な場合は、ホームページ上で修正させて
 いただいています。

                      http://www.commonplace.jp/


■目次

 01 今週のコラム--------------「子供の空間」
 02 住宅設計入門--------------No.25 各室の大きさ 1
 03 マンションの完成まで------No.25 引渡し
 04 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉 



///// 01 今週のコラム //////


「子供の空間」

10月からNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」が始まりました。第一週は主人
公和田喜代美の少女時代の話でしたが、子供の素直な言動がどれほど大人の心
に響くか教えられる内容でした。詳しい説明は控えますが、人生経験豊かな大
人が発する気の利いた言葉よりも説得力があったと思います。

子供の生活は日常そのものだと思います。政治や経済に心が揺れるわけではな
く、自分の身の廻りの些細なことが生活に大きな影響を及ぼします。大人にな
ってから昔よく出入りした建物に入ると「こんなに狭かったかな」と感じるこ
とがあります。誰もがそれを相対的に自分の身体が大きくなったからだと解釈
しますが、それだけではなく大人になったせいで日常的な空間を感じ取る能力
が衰えてしまっていることも大きな要因だと思います。大人になり行動範囲は
広がりますが、日常的な空間は狭くなりそこから感じ取れるものも少なくなっ
てきているのではないでしょうか。

子供は家の中のどこでも自由に出入りし自然に振舞います。そこが親の仕事場
であっても兄弟の勉強部屋であっても台所であっても、時間帯が悪ければ怒ら
れることもあるかもしれませんが当たり前のように受け入れられ時間を過しま
す。大人になるに従ってこの日常的な空間がどんどん狭くなっていくような気
がします。子供は自由に空間を感じ、時間を感じる生活を送りながら大人より
も多くのことを日常から感じ取っているはずです。ただ言葉に残せないので本
人も回りの大人も気付かないのです。子供の頃に戻った気持ちになって自分の
生活を見つめ直したり、子供の行動に何かを感じ取ることは大切なことだと思
います。

今の住宅の多くは、社会的理想の中に生まれてきているような気がします。そ
こからは経済的、機能的、健康的、デザイン性といった人当たりの良い言葉が
思い浮かびますが、本当はもっと自分の生活を見つめ直し、自分の理想を見つ
け出さなければいけないのではないでしょうか。それには世評に浮かれること
なく、子供のように空間と日常を結びつける感覚が大切だと思います。

「ちりとてちん」の舞台である、喜代美の家(小浜の実家)は和室が連なる古
い家です。中庭があり風通しがよく奥行きが感じられる魅力的な家だと思いま
す。離れにおじいさんの塗箸の仕事場があります。ここで喜代美が少女時代に
濃い時間を過していたことを容易に想像できます。昔は家族一緒に暮らすこと
が最優先されていて、風通しも良いが人通しも良い住宅が当たり前のようにつ
くられていたのではないでしょうか。忘れ去られた多くのことを教えてくれる
家だと思います。


連続テレビ小説「ちりとてちん」 http://www3.nhk.or.jp/asadora/





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に関するアドバイス
をさせていただきます。

第25回のテーマは「各室の大きさ 1」

今回は部屋の大きさを決めるポイントをマンションの規格寸法を例に説明させ
ていただきます。マンションを設計するときに、ディベロッパーから最低寸法
(面積)を指定される場合や各社共通に、指定されなくてもほぼ決まっている
寸法があります。マンションは住戸の面積が限られているので、室の機能を満
たす寸法はミニマムに近く抑えられる傾向があります。逆に大きければよいと
いうものでもなく、例えばトイレや廊下の寸法を最小限にして余った寸法を居
室にする発想はあってもよいと思います。

玄関の奥行きは最低900(ミリ 以降この記事において共通)以上と指定されま
す。仕様が高いマンションだと最低1100以上と指定されることもあります。
900という寸法はかなり狭いですが、収納力のあるシューズボックスを設けれ
ば基本的な機能を満たします。ただ、靴を履くために椅子を置いたり、観葉植
物を置くスペースは余り期待できません。ちなみに下駄箱の奥行きは400が基
本です。

廊下の幅員は有効寸法880とすることが多いです。壁厚が70となることが多い
ので壁芯から壁芯までを950とするとこの数字になります。日常的には困りま
せんが両側に手摺を付けた上、車椅子を利用する場合は少し狭いと思います。
バリアフリーを考慮すると有効寸法950程度必要ではないでしょうか。余談に
なりますが、「マンションに高級感を持たせるコツは廊下を広くすること」と
聞いたことがあります。巾を100大きくするだけで玄関を開けて入った印象が
大分違うのは確かです。

洋室(子供部屋)は6畳以上の広さにすることが求められます。目標値なので
多少狭くなっても認められますが、5畳以下は認めないディベロッパーが多い
と思います。何れにしても、部屋の形状が著しく細長かったり、柱が出ていて
実際に使える面積が小さい場合は再検討が必要になります。実際に家具をレイ
アウトして使用上差し支えないか必ず確認しなければなりません。入口の扉は
巾800内開きが基本なので家具にぶつからないように注意します。クロゼット
の奥行きは600(有効570程度)が基本です。これはハンガーを無理なく吊るせ
る寸法で決まっていますので布団を仕舞う場合は有効800以上必要です。クロ
ゼットの前面は最低600程度のスペースが必要です。

主寝室はベットを二つ並べ間にナイトテーブルを置くことが基本なので、室の
形状や収納の位置によって多少違ってきますが基本的に奥行き有効2500以上巾
有効3500以上の広さを必要とします。巾はナイトテーブルを省略したりダブル
ベットを用いたりして調整可能ですが、奥行きはベットの長さが2000程度ある
ので通路スペースを考えると2500程度確実に確保するべきです。バルコニー等
がありれば出入り口の窓から750から1000ぐらいベットを離したいところです。
ドレッサーや洋服箪笥等他に家具を置いたりすることを考えれば8畳程度ほし
いと思います。マンションでは7畳前後になっているケースが多いと思います
が、多少狭く感じます。ウォークインクロゼットを設ける場合、奥行き寸法有
効1200以上とします。扉巾700で主寝室側に開きますので、ベットにぶつから
ないように注意しなければなりません。スペースを必要とするので引戸を用い
る場合も多いです。

洋室、主寝室に共通して言えることですが、テレビ、パソコン、電話用のアウ
トレットの位置は家具の配置をよく考えて決めることが大切です。それにより
部屋に広さに影響を与えることもあります。

次回は水廻りとリビングダイニングの必要スペースを中心にお話させていただ
きます。





///// 03 マンションの完成まで //////

マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事を、設計事務所の立場から紹介
させていただきます。マンションはどうやってできるのか、どれだけの作業が
必要なのかご理解いただければ幸いです。


   No25 「引渡し」

内覧会で指摘された部分の手直しも完了し、あとは建物を引き渡すのみとなり
ました。引渡しは施工建設会社からディベロッパーに引渡した後、入居者(購
入者)に引き渡されることになります。ディベロッパーは長い間建物を保有し
ていると管理上の問題生じるので、引き渡されるとその数日後には入居者に引
渡し、管理会社に管理していただくことになります。

ディべロッパーに引き渡す際、施工会社(建設会社)は色々な引渡図書を用意
します。主な図書は引渡関係書類、取扱説明書、竣工図(構図計算書含む)で
す。これに工事写真、施工図、竣工写真、図面データー等が加わります。主な
図書のうち竣工関係書類と取扱説明書は引渡し当日に提出し、竣工図は作成に
時間がかかるので後日提出することになります。

引渡関係書類は建物引渡受領書類、官公庁関係提出書類及び許可証(検査済証
等)、鍵引渡書、植栽等の保証書、備品リスト、協力業者一覧表、機器試験成
績書等をまとめます。取扱説明書は専有部分の設備機器のカタログをまとめて
住戸数+予備分の部数用意します。部数が多くなるので結構大変な作業になり
ます。共用関係(ポンプ、エレベーター、警報機器等)は別冊にして管理事務
所用に作ります。

竣工図は作成するのが大変です。基本的には設計図を修正し、部分的に施工図
を入れて編集して作るのが一般的ですが、手間もお金もかかります。平成13年
度に施行された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」により、宅
地建物取引業者は管理組合の管理者が選任されたとき速やかに竣工図を提出す
ることが義務化されました。このため1ヵ月から2ヶ月程度で竣工図をまとめ提
出しなければなりません。

契約上多くの場合特記仕様書に記載があるので、竣工図を作るのは施工会社で
す。図面の修正に関しては設計事務所にやってもらえると思っている会社が多
いようですが、法律上も契約上も設計事務所に修正の義務はありません。発行
元は施工会社であり施工上の責任を持ってもらう意味でも、基本的に現場での
変更(計画変更申請に関わる部分は除く)部分は施工会社に図面を修正しても
らうスタンスです。実際には間違いの無い竣工図を作るために、設計事務所と
施工会社が打合せをしながら作業しますが、全ての修正を設計事務所が行うこ
とはありません。CADで図面が描かれているので外注先に作図を依頼しなけれ
ばならなくなり、なかなか図面の修正が進まないことが多いようです。特に赤
字に近い現場などは何時まで経っても作ってくれる気配を感じません。竣工図
が出来なければディベロッパーは困ってしまいますので、支払いの一部を竣工
図提出時に支払う契約をして、竣工図を作ってもらえるようにしているディベ
ロッパーもあります。

引渡しが終わると現場事務所はなくなり、建物の中にも受付を通さなければ入
ることが出来なくなります。長い間打合せに通い続けたディベロッパーにも行
く機会がなくなり少し寂しい感じがします。しかしその頃には新たな仕事でお
尻に火がついている状況になっていることが多く、感慨に耽る間もなく次の仕
事に集中しなければなりません。

次回は全体を通してまとめさせていただきます。





///// 04 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家、恩師、仕事仲間や書籍等のなかで印象に残った言葉
を紹介させていただきます。


    「美しい図面よりも正確な図面を描いてほしい」

この言葉は、アトリエ事務所から中規模の事務所へ移動転職する際、面接のと
きに言われた言葉です。当時まだ20代半ばで、図面に対してこだわりがあった
自分は給与待遇よりその事務所がドラフターを使っているのか平行定規を使っ
ているのか、シャープペンシルを使っているのかホールダーを使っているのか
気になっていました。幼稚な思い込みかも知れませんが、当時の私にとって重
要なことだったのです。「どんな図面を描いているのですか」と抽象的な質問
をしてみると所長は「正確な図面を描いてください」とアッサリ答え、「平行
定規を使っているが、ホールダーを使ってもシャープペンシルを使って構わな
い」と続けました。期待していた「力強い線」とか「勢いのある線」という言
葉は聴くことが出来なくて少しがっかりしましたが、考えてみると一番大切な
ことだとも思いました。

どんなに美しい図面を描いても、平面図と立面図に不整合があったり、記入し
ている数値が間違っていては何の意味も無くなってしまいます。その図面がそ
のまま流れてしまった場合、計画がかなり進んでから間違いに気付き大きな変
更を強いられることになります。依頼主にも迷惑を掛け信用を失うことに繋が
ってしまいます。図面に求められる技術に順位をつけるなら「正確さ」「わか
りやすさ」「美しさ」の順になるのではないでしょうか。

正確でわかりやすい図面は美しい図面にもなります。特に最近は殆どCADで図
面を描くので線自体の個性はなくなってしまいました。美しい図面を書くには
線の太さや図面のレイアウトを工夫することが大切です。正確でわかりやすい
図面はレイアウトがしっかりしていて比較検討しやすく、線にメリハリのある
図面です。結局それを追い求めれば美しい図面になります。実用の大切さを気
付かされた言葉です。





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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                  http://www.commonplace.jp/
                    
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【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘           masahiro ikezawa
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