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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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・・・・・・バックナンバー第029号

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  ・・・これからの住宅設計・・・      第029号(2007.12.10)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

建築設計、住宅設計に関わる話題を取り上げ、住宅設計者としての経験や理念
をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機会を提供するこ
とを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。



                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘


※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
 誤字等も含めて、記事の訂正が必要な場合は、ホームページ上で修正させて
 いただいています。

                      http://www.commonplace.jp/


■目次

 01 今週のコラム--------------「デザイン性重視による危険性」
 02 住宅設計入門--------------No.29 壁を意識する
 03 建築材料めぐり------------No.03 石材
 04 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉 



///// 01 今週のコラム //////


「デザイン性重視による危険性」

最近のマンションはデザイン性の優れた物件が多くつくられ、一昔前とはデザ
インに対する価値観が随分違ってきていると思います。多くのマンションディ
ベロッパーは有名デザイナーと手を組み、設計事務所がつくった設計図に手を
加え美しいマンションをつくっています。マンションばかりではなくハウスメ
ーカーもデザインは良くなっていると思います。このデザイン重視の傾向はど
のような効果をもたらし、将来何を残すのでしょうか。

20年ほど前のマンションの外観は幾つかのデザイン手法にパターン化され画一
的な外観が多数を占めました。一部のデザイン性の優れたマンションを除き、
柱、梁と壁のタイルの種類を変えたり、バルコニー部分の仕上げを外壁部分と
変えたりして外観を整えマンションをつくっていたように思います。購入する
側も利便性や住戸の広さ、住環境の良さ等を重視して購入していたようです。
今はメディアの影響や個性を重視する傾向があり、マンションはデザインが良
くなければ売れないと言われています。当然、優れたデザインの大量生産が必
要になり、有名デザイナーを使って次々と新しいアイデアを導入しデザイン性
の優れたマンションをつくっています。

均整の取れたデザインは街並みをきれいにし、人の心を高揚させているように
も感じます。マンション購入者は数百万余計に出費してもデザインの優れたマ
ンションを購入するようになります。一見、高い文化意識が芽生え始めている
ような印象を受けますがこの傾向を楽天的に受止めてよいか疑問に感じます。

現在のデザイナーズマンションブームは経済性が生み出したものであり、マン
ションにとって本当に必要なデザインとは何か、しっかり考えていないように
思えてなりません。見栄えの良いデザイン手法だけを上手く取り入れ、大量生
産されているデザインは人の心を捉えることが出来ず、いつかそのパターンが
大衆に見透かされ陳腐化してしまう時が必ず来るように思えます。工業製品は
使ってせいぜい10年ですから、買い換えれば済みますが、マンションは一生で
一度の買い物と捉えている方も多いと思います。やっとの思い出手に入れた自
分の家に愛着がもてなくなってしまったら悲しいことです。

本当の個性は簡単には手に入りません。実はデザイナー自信がそれを解かって
いると思います。ただこれから数年間は多くの人に評価されるものをお金をも
らって提案しているだけなのです。本当に新しいものは心血を注ぎ込み、わず
かに可能性がしみ込んだ布を渾身の力で絞込みやっとの思いで出てきた一滴の
雫を掴み取るような思いをしなければ生まれてきません。残念ながら今の建築
文化の中ではなかなか経済性と適合しない世界です。(文学や絵画ではそれが
可能だと思いますが)

今のデザインブームに迎合することを私はお勧めしません。ただ格好悪いもの
より良いものを手に入れたいと思われているのであれば、なるべく普遍的な要
素を含んでいるシンプルでプロポーションの良いものを選ばれた方が良いと思
います。また自分の心の壷を見事に捉えていると納得し、他人の意見に影響を
受けない自信があればそれも結構でしょう。良くないのはブームに乗せられ何
となく心地良いものを手に入れてしまうことです。





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に関するアドバイス
をさせていただきます。

第29回のテーマは「壁を意識する」

住宅をつくるとき必ず壁は必要になります。当たり前に存在するものだけに壁
のみを取り上げて考えることは少ないと思われますが、壁の扱い方によって住
宅は大きく変化します。今回は壁を意識することが住宅にどのような影響をも
たらすか考えてみたいと思います。

住宅の壁の機能は、部屋を仕切ったり、構造材として屋根を支え風を受止めた
り、音や視線を遮る役割があります。また外壁は家の形をつくりだす大変重要
な役割を担っています。家は通常、箱型になっていて外観上は一つの物体に見
えます。しかし外壁の角でどちらかの壁を延ばすことにより箱の一面であった
壁が、一枚の盤として形態を主張します。その上他の面と違う色で塗ればその
壁は形態的に独立した印象を強く受けるようになります。一つ一つの部材の存
在感を主張するデザインはモダンデザインの手法として良く使われています。

厚さ1センチに満たないレンガタイルを外壁に貼った家の角を見ると、厚みの
あるレンガが積み重ねてあるように見えます。(ごまかしといえばその通りで
すが)角を上手く見せることによって仕上材の存在感を感じさせることが出来
ます。役物(コーナー用に直角に貼り付けたタイル)が増えてお金が掛かりま
すが、窓のダキをとったりして角を増やすことはレンガタイルの効果的な表現
方法です。

部屋を仕切る役割としての壁を考えた場合どのような仕切り方が適切かよく考
え、それにあわせて壁を変化させた方が面白い住宅になると思います。現在の
住宅では壁にドアが一枚ついているだけの家が多く、もっと色々な壁を取り入
れても良いと思います。バスルームやトイレなどを明るくする為にポリカーボ
ネート板を用いて光を通して視線を遮る壁にしたり、子供部屋の壁をルーバー
にすれば、独立性を保ちながら子供の気配を感じ取ることが出来る壁になりま
す。古い和風の住宅は壁の代わりに建具を用いてそれを行っていたような気が
します。障子であったり、襖であったり、木の引戸等を上手く使い調整機能を
持たせていたのではないでしょうか。

壁は直接手で触れるものですから、全てをビニールクロスにせずに仕上材を色
々変えてみることも面白いと思います。コンクリート打放しの壁があったり、
コルク張りの壁があったりすればその感触の違いが日常に変化をもたらすと思
います。水性ペンで落書きが出来るプラスチックの壁もあったら楽しいかも知
れません。

壁は意識しなければ、同じような白い壁が立ち並ぶだけです。壁一枚一枚につ
いて思いを巡らすことにより生活に多くの変化が生まれるはずです。





///// 03 建築材料めぐり //////

建物と建築材料の関係を考えながら、メーカーのホームページを通じてそれぞ
れの材料を紹介させていただきます。(新連載)


   No03 「石材」

石材は天然建築資材の中でも丈夫で意匠的にも優れ、広く使われています。マ
ンションのエントランスの仕上は石が使われることが多く高級感を演出してい
ます。住宅では余り使用されないと思われがちですが、玄関の上り框やキッチ
ンのカウンターなどに使われています。種類もとても豊富でどんな用途の建物
であってもコーディネートが可能です。

石材に関する基本知識は今回紹介させていただく全国建築石材工業会のホーム
ページにとても詳しく解説されています。石材の使用をご検討されている方は
是非参考にしてください。多くの石種も載せてあるので石種の選択にも役立つ
と思います。

石に関する細かい説明は上記ホームページに譲り、設計者の立場から石材の特
徴を幾つか取り上げさせていただきます。先ず眠り目地を使用することにより
目地が目立た無いように出来ることです。一面の白い壁などを演出するには大
切な特徴でタイルでは表現できません。次に小口を磨けることも特徴的です。
玄関上り框や階段、カウンターなどをつくるのにとても適した材料です。10セ
ンチ角の角材なども加工でき、厚みが必要な縁石などによく使われます。また
同じ石種でも加工によって表面の印象を大きく変えることが出来ます。通常は
本磨きといってピカピカに磨いて使うことが多いですが、床材にはバーナー仕
上げといって表面をざらざらに仕上げ、滑りにくくすることが行われます。本
磨きとバーナー仕上げを組み合わせ模様貼にすることもよくあります。その他
ハツリ仕上げなど荒々しい岩肌の様な仕上もあります。

石は天然材料で物体として存在感があり、石材で作った柱やカウンターなどは
周りの材料から浮かび上がります。重ねたり継ぎ合わせたりしたとしても一つ
の物体として感じ取ることが出来ます。外壁に用いた場合も同様で、全体を石
で仕上ると建物が一つの結晶化された大きな塊に感じとれ周囲から際立たせる
ことが出来ます。

欠点は値段が高いことですが、最近は中国産の石が普及しかなり手ごろな値段
の石も増えてきました。少し高いタイル程度の石もあるので安くて気に入った
ものを探すもの楽しいかもしれません。値段が提示されているネットショップ
も紹介させていただきます。ただ実際に購入の際は実物を御覧になられること
をお勧めします。アドヴァンなどのショールームはタイルも含め多くの仕上材
が展示されていますので、足を運んでみてはいかがでしょうか。

人工大理石は文字通り人工につくった石のような材料ですが、均質で美しい材
料です。外壁などには使われませんが、清潔感がありキッチンのカウンタート
ップによく利用されます。こちらのメーカーのホームページも紹介させていた
だきます。


全国建築石材工業会   http://www.kenchikusekizai.org/material/01/

株式会社アドヴァン   http://www.advan.co.jp/

TJ-Stone        http://tj-stone.jp/index.htm

建築石材通販 APRIO   http://www.aprio.info/index.html

人工大理石デュポン   http://www.dupont-corian.net/





///// 04 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家、恩師、仕事仲間や書籍等のなかで印象に残った言葉
を紹介させていただきます。


    「自分の音を聴く」

この言葉は私が長い間お世話になったギター教室の先生から何度も言われた言
葉です。「楽器を演奏するには先ず自分が出している音を聴くことが大切で、
それが出来ないうちはどんなにテクニックが上達してもいい演奏は出来ない」
と教えられました。自分の音を聴くことは簡単に感じられると思われるかも知
れませんが、これがとても難しいのです。自分では手で押えた音が全て出てい
るつもりなのですが「今の和音の真ん中の音が抜けているよ」と言われて出て
いないことに初めて気がつきます。音がしっかり聴けていれば指摘される前に
自分で解かるので、練習するときに注意してレッスンの時には修正できるので
すが、自分の音が聴こえていないから先生の前で弾く時に初めて気がつくわけ
です。それまで間違った形で何度も練習を繰り返してしまって上達どころか下
手になっていることもあると思います。

自分の出した音が聴こえていなければ、いつまでたっても作曲者が意図した響
きを表現することは出来ず、演奏を聴いてくれている人を感動させることは出
来ません。「自分の音を聴く」ことが出来るようになるためには、一つ一つの
音の重要さを認識して和音の響きをしっかり覚える必要があります。そしてき
れいに音が揃ったときの心地よさを身に着ければ自然に音が抜けたときに気が
つくようなります。

建築の設計においても、今自分が何をしようとしているのかハッキリ認識しな
がら仕事をしなければただ時間だけが過ぎていきます。例えば図面を描く作業
をしている時、どんなに詳細で綺麗な図面を描いたとしても、大切な寸法の記
入漏れがあれば使えない図面になってしまいます。その図面を何のために描い
ているのか、描いた図面がどのように使われるのかしっかり認識して描かなけ
れば使える図面は描けません。こちらも図面の指示が伝わり仕事がスムーズに
進む経験を積むうちに的確な描き入れが出来るようになってきます。

設計の仕事を始めた頃、依頼者の要望に沿うように各室の面積を確保し通風も
採光も部屋の並びも上手くいき自信を持って上司にプランを見せると便所が無
いこと指摘されるという失敗は多くの設計者が経験していると思います。主要
な部屋に意識がいってしまい、目立たないけれど絶対に無くてはならない部分
に気が回らなかったということです。これではどんなに素晴らしい案でも依頼
者に提示できません。音楽にたとえればメロディーに気を取られて、和音を疎
かにしてしまったといったところでしょうか。

自己を客観的に見つめ、ことの重要さを認識しなければ実りのある仕事は出来
ないと思います。これはどんな仕事にも当てはまることではないでしょうか。





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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                  http://www.commonplace.jp/
                    
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【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘           masahiro ikezawa
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