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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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・・・・・・・バックナンバー第005号

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  ・・・これからの住宅設計・・・      第005号(2007.04.30)
               
   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

耳寄り情報やお買い得情報は余り掲載できないと思いますが、住宅設計者とし
ての経験や理念をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機
会を提供することを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。

                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘



■目次

 01 今週のコラム--------------緊急地震速報システムの一般運用
 02 住宅設計入門--------------No.5 外部との関係を考える
 03 マンションの完成まで------No.5 実施設計1
 04 建築の本棚----------------建築の本の紹介
 05 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉



///// 01 今週のコラム //////

「緊急地震速報システムの一般運用」

今年、3月25日に能登半島地震が発生しさらに4月15日に三重に大きな地震が発
生しました。日本列島の地震活動は活発化の傾向があり、一部の地域で周期的
に発生していた海溝型の大地震だけではなく、いつどこで大地震が起きてもお
かしくない状況です。そのような状況の中で耐震構造に対する認識も深まり、
今後倒壊する建物はかなりのペースで減小すると思われます。また耐震改修に
踏み切れないまでも、自分の家の状況を理解している人は増えてきました。今
後火災や家具の転倒、また倒壊の危険があると認識した上での逃げ遅れによる
被害の対策が重要視されると思います。

気象庁は平成16年2月から緊急地震速報の試験運用を始めました。これは初期
微動の小さなゆれP波を感知し、その後に訪れる大きなゆれS波到達前に速報
を発信する仕組みです。(詳しくは下記のホームページを参照してください)
気象庁は今年の秋から最大震度5弱以上の地震の際、一般家庭にも速報を流す
ということです。既に昨年の8月から鉄道や工事現場、病院等には速報が発信
されています。家庭用の端末は目覚まし時計位の大きさの箱にアンテナとスピ
ーカーが付いたような機器で、これを防災チャンネルで紹介しています。(下
記URL参照)是非ご覧になってください。またインターネットやテレビ等でも
速報を流すそうです。

マンションにも標準装備され販売する物件も出てきました。三井不動産レジデ
ンシャルは平成20年1月以降に完成する都内の新築マンションに標準装備する
予定です。緊急地震速報を受信し各戸のインターホンで警報を流し、エレベー
ターも最寄りの階で自動停止するそうです。他にも大京、東京建物、積水ハウ
スのマンションで導入することが決まっている物件があるらしく、近い将来当
たり前のものになるかもしれません。

数秒後に巨大地震が来ることが解かってしまうのは怖いような気もします。一
斉発信により心配されるのは、パニックや誤報に拠る事故が発生する可能性が
あることです。何十年に1回警報が鳴るような状況にせずに、震度4ぐらいで発
信させて日頃から対応の訓練をするというのはどうでしょう。逆に慣れてしま
って効果がなくなることも考えられますが。(東京建物の物件は警報を発信す
る震度を自由に設定できるらしいです。)

戸建て住宅では、寝たきりの高齢者の方や病気で動けない方のために、一部屋
だけでも完全な補強をして、緊急警報発信の際家族がここに非難するというこ
とを考えても良いかもしれません。ただ大きなゆれが来るまでの時間が短い場
合、部屋を移動するのは危険らしく、自分のいる場所で机の下に身を寄せるな
どして安全を確保しなければいけないようです。

技術の進歩は目覚しいですが、自然の驚異は計り知れません。災害後の復旧に
至るまで、大変な精神と体力を消耗します。人と人とがお互い助け合い、励ま
しあう気持ちが一番大切になってくるのではないでしょうか。


気象庁 緊急地震速報について
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/index.html

政府インターネットインターネットTV51ch防災チャンネル
http://nettv.gov-online.go.jp/channel.html?c=51

東京建物ニュースリリース
http://www.tatemono.com/news/2007/ttknews070319.html





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に対するアドバイス
をさせていただきます。

第5回のテーマは「外部との関係を考える」

住宅のプランを創る上で、外部との関係を考えることは大切なことです。当然
のことのように感じられるかもしれませんが、どの程度まで「外」の要素を室
内の持ち込むかは、そこに住む方の考え次第でかなり変わってきます。

外部との接点で一番最初に思いつくのは玄関です。玄関は住宅の中で少なくな
った土間が今でも機能しています。この土間をどこまで広げるかでその家の顔
は大分変わってきます。玄関扉を出た先に、少し広めのポーチを作り屋根をか
け、玄関に貼った床材をポーチまで伸ばしベンチや花台を置く。また玄関脇に
シューズインクローゼット兼倉庫を作って本やガーデニングの道具を置いても
面白いかもしれません。内部は内部だけで断絶させないことが面白い生活事象
を生み出します。防犯の為に硬く閉ざされた玄関扉のイメージが変わってくる
のではないでしょうか。

よく住宅雑誌等で目にすることがあると思いますが、外部テラスにすのこ状の
床を設けてリビングルームと段差をなくし、サッシを壁の中に引き込めるよう
にすると、テラスの床とリビングルームの床が一体化します。気候のいい時期
、自然を感じながら開放的な生活を送ることが出来ます。

そのほか、キッチンに勝手口を設けて外部と関係を作ったり、浴室から庭に向
けて大きな窓を設けたり、考え始めればいろいろなアイディアが思い浮かびま
す。外部空間との関係は室内のイメージが相当変わるので、外とのつながりを
考えるのは楽しいことだと思います。これから家を建てる人に与えられた特別
な権利といってもいいのではないでしょうか。間取りを考えていると必要な面
積や、家具の配置に追われて室内だけで計画を完結させてしまいがちです。外
部空間と内部空間を一緒に考えることは大切なことだと思います。





///// 03 マンションの完成まで //////

マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事を、設計事務所の立場から紹介
させていただきます。マンションはどうやってできるのか、どれだけの作業が
必要なのかご理解いただければ幸いです。


   No5 「実施設計1」

確認申請が下りると次は幾つかの建設会社に見積をお願いするための図面を作
成することになります。確認申請時点の図面では、仕様が明確になっていない
ところが多いので、設計の詳細を表現しなければなりません。ディベロッパー
との打合わせでは、細かい納まりが中心になってきます。また照明の位置、ス
イッチ位置、共用部分の仕上げ等法規的に確認申請の審査に関係のなかった事
柄について詰めることになります。

設計事務所はエントランスホールのパースを描いたり、サンプルを集めたりし
てプレゼンテーションも行わなくてはいけないので、とても大変な時期です。
少人数の事務所などは総動員して作業に取りかかります。基本的に金額に関わ
ること全て決まっていないと、工事が進んでいくうちに問題になります。当然
あるべきものが抜けていたり、金額の高い材料の部分に安い材料が入っていた
りすると、安い金額で建設会社がディベロッパーと請負契約してしまい、お金
の出所がなくなってしまいます。また、いろいろな事情で増額や減額が発生し
た場合、契約時の見積を元に調整してゆくので、図面上でどの様な作り方でど
んな材料を使うといことが解かるようになっていないと、金額の調整が出来ま
せん。

見積金額に関することも大事ですが、設計事務所の能力を試されるところでも
あります。デザイナーズマンション以外では個性的なデザインは敬遠されるの
で、マンションはデザイン力を試される部分は少ないのですが、実施設計では
エントランスホールのインテリアをデザインしたり、外構部分をデザインした
り、外装タイルパターンを決めたり出来るので意匠的な能力を発揮できます。
またディベロッパーが「ここはもっと細く」とか「この接合部分は見えないよ
うにして欲しい」という要望が出ますので、詳細を考え上手く納める能力も求
められます。提示したものが認められ形になる喜びは、設計者にとってかけが
えのないものです。

上記にご紹介した内容はオーソドックスな行程ですが、最近は事情が異なって
来ています。工事金額の決定は図面の内容よりも営業が主体になり、見積書は
それにあわせて作成するようになって来ました。どこのディベロッパーでも建
設会社を絞り込むため、設計の途中で概算見積を取ります。大体そのときの金
額で事業を動かしますから、最終工事金額は概算見積時提示金額に近くなけれ
ばならなくなってしまうのです。その結果概算時に建設会社が見込んでいた仕
様にあわせなければいけなくなったり、機器メーカーを指定されてしままうこ
とが良くあります。「この条件なら細かいことを抜きにして、責任を持って工
事を請け負います」というような営業的駆引きがとても重要視されます。(そ
の結果、エンドユーザーにお求め安い価格で提供できることにはなります。)
さらにオプションの対応等でマンションの現場は変更作業がとても多くなって
いますから、一つ一つの変更作業に対して金額を当てはめることが難しくなっ
てきています。

従来のやり方では、仕様決定や現場業務が難しくなってしまったのは間違いあ
りません。ディベロッパー、工事施工者、設計者、購入者が納得できる工事発
注方法を考えていかなければいけない時期が来ていると思います。

次回は、図面の内容を中心に続けて実施設計についてご紹介させていただきま
す。





///// 04 建築の本棚 /////

建築に関わる仕事をしている以外の方でも、楽しんでいただける建築関係の本
を選んで紹介させていただきます。

今回紹介させていただく本は

    「建築MAP東京mini」
    「建築MAP東京mini・2」  ギャラリー・間 編
                    TOTO出版 各1000円+税


東京都内の建築に限られていますが、とても詳しい建築ガイドマップです。
「建築MAP東京mini」は1980年から1994年ぐらいまでの建物が紹介されてい
て、min・2の方はそれ以降2003年ぐらいまでの建物が紹介されています。地
図のサイズは1:1500で本の大きさは新書より少し小さい100×163です。地図
も字も小さいので栞になるシートレンズが付いています。殆ど全ての建物の写
真が載っていて、解説もついています。共に約350ページで、コラムも頻繁に
織り込まれていて、読んでも楽しい本です。サイズがとてもコンパクトなので
、持ち歩くには便利です。特に東京では仕事などで行ったついでに見ておきた
い建物が多いので、常に携帯してもそれ程邪魔になりません。

この本の通常サイズ版も出ています。(実はこちらが通常版)地図のサイズが
1:1000で、ルーペが必要ないサイズです。本の大きさは150×253です。また
同シリーズで東京以外の都市も出版されています。

「建築MAP大阪/神戸」
「建築MAP横浜・鎌倉」
「建築MAP北九州」
「建築MAP京都」
「建築MAP京都mini」

是非ご利用ください。





///// 05 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家や書籍のなかで印象に残った言葉を紹介させていただ
きます。


 「良い設計には、一度に二つ以上の問題を解決できるアイディアがある」

この言葉は建築家大谷幸夫先生が大学の講義でお話しいただいた言葉です。当
時設計の良し悪しについて判断材料を持たず、好き嫌いで価値が決定されるも
のと思っていた私の心に響きました。建築の設計にも絶対的ともいえる評価が
在ることに気付き、己の未熟さが身にしみたのを覚えています。

大谷先生が教えてくださったのは、紀元前3千年頃の都市ウルの住宅で中庭が
使われたことを話され、以下のように講義してくださいました。

中庭を導入することにより
1.自然環境を提供出来る
2.戸外の生活の場を提供出来る
3.部屋相互の関係を支えることが出来る
4.住宅と外界の関係を調整することが出来る
という複数のメリットがあり、中庭型住宅は19世紀まで都市住宅の中心的スタ
イルに定着した。

中庭型住宅は、現在に於いても都市型住宅の一つのパターンとして残っていま
す。注意深く建物を見てみると、良い設計には同時に二つ以上の問題を解決す
るアイデアが盛り込まれています。例えば窓を高い位置に持って行く事により
、外部からの視線を遮りかつ部屋の奥まで採光をもたらすことが出来ます。

建築は多くの要素がパズルのように絡み合って構成されているので、多くの問
題を同時に解決するアイディアでないとそこにストンとはまりません。そして
それは好みの問題ではなく、人の生活に価値を与えていると判断されるものだ
と思います。そのことを最初に教えてもらった言葉でした。


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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                     http://www.commonplace.jp/
                        
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【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘          masahiro ikezawa
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