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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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  ・・・これからの住宅設計・・・      第006号(2007.05.07)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

耳寄り情報やお買い得情報は余り掲載できないと思いますが、住宅設計者とし
ての経験や理念をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機
会を提供することを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。

                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘



■目次

 01 今週のコラム--------------色物家電の普及
 02 住宅設計入門--------------No.6 一寸変わった減額案
 03 マンションの完成まで------No.6 実施設計2
 04 建築の本棚----------------建築の本の紹介
 05 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉



///// 01 今週のコラム //////

「色物家電の普及」

「白物家電」という言葉をご存知でしょうか。冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど
の家電製品を示す言葉ですが、従来どこに置いても当たり障りのない色が使わ
れていることから白物と呼ばれるようになりました。

この白物家電が最近「色物」に変りつつあるようです。代表格はシャープの水
蒸気オーブン「ヘルシオ」です。平成16年から販売されましたが、当時定番の
銀と個性的な朱塗りの赤等を用意し、メーカーでは赤の販売個数は1割程度と
見込んでいましたが、実際には4割の販売個数があったそうです。赤を購入す
る方は、機能よりもデザインを優先する傾向があって指名買いが多かったとい
う結果がでました。また三洋電機ではエアコン「四季彩館」で7色のバリエー
ションをそろえて人気になっているそうです。

白物家電は生活の中で必需品といってよく、どこに置いても問題がないデザイ
ンが好まれていたと思います。しかし最近は空間装飾に対する意識の高まりか
ら、自らコーディネートしてマッチングする傾向が顕著になってきました。以
前にも一寸変った色の家電がはやった時期はありましが、それらは殆どが陳腐
化してしまい、レトロなイメージさえ感じます。しかし今回はブームだけでは
終わらないような気がします。その理由の一つは、メーカー側が奇を衒ったデ
ザインではなく、洗練されたものを供給していることです。質感や機能から導
き出されるデザインを生み出していて、簡単には飽きられないと思われます。
それどころか感銘や教訓を得るデザインも存在している印象を受けます。

もう一つは、使う側の意識の高まりです。当たり障りのないものや単純に自分
が好きな色を購入する傾向がありましたが、ここにこの色の家電を置きたいと
いうような、明確な意思を持って購入される方が多くなったのではないでしょ
うか。

多くの研究開発が必要な家電製品は、衣服のように多様なデザインを自由に生
み出すことは不可能です。今後、個性的なデザインを世に送り出すとしても相
当の検討を重ね、長いスパンで採用できるものが世に出ることになるでしょう
。ブランド化されることがとても大切で、淘汰され残ったデザインが長く愛用
されることになると思われます。「シャープレッド」なんていう言葉が普及す
ればメーカーはしめたのもです。今後どの様な傾向が生まれるか楽しみです。


シャープ 「ヘルシオ」 
http://healsio.jp/

三洋電機 「四季彩館」
http://www.home.sanyo-ac.co.jp/eac/house_use/index_airsel.htm




///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に対するアドバイス
をさせていただきます。

第6回のテーマは「一寸変わった減額案」

住宅の新築を計画していて、工事費の減額が必要になった場合、仕上げを変更
することや設備機器の仕様を落とすことを考えると思われますが、ここでは少
しユニークな減額案を紹介したいと思います。

最初の案は、「間仕切り壁を出来るだけ少なくしてしまう」という減額案です
。終戦直後の日本の住宅事情はウサギ小屋と表現され、矮小住宅と卑下される
傾向があり、食寝分離が叫ばれていました。その影響から部屋を細かく分割す
る傾向が定着してしまったと思います。部屋の機能を限定せず、幾つかの部屋
を繋げてしまい多機能に利用すれば空間が広く豊かになります。家族が増えた
ときに困ると思われるかも知れませんが、将来お金が出来たときに間仕切りを
作り子供部屋に改修しても良いのではないでしょうか。

第2案は「木製建具をやめてしまう」という減額案です。最初の案とも関係が
あると思いますが、子供部屋の扉は子供が小さいうちは必要ないと思います。
むしろない方が家族の繋がりが深くなると思います。洗面所の扉は洗濯作業を
行う上ではない方が便利です。殆ど家族しか使わないのですから、便所と脱衣
室にカーテンを付ければ問題がないと割り切ってもいいかも知れません。扉が
ないことによるメリットもあり、いつでも後から付けられると思えば新築時に
なくても良いのではないでしょうか。

最後は批判を受けるかも知れませんが、「玄関をやめてしまう」という減額案
です。玄関は家の顔という印象があるので、お金をかけてしまう傾向がありま
す。だから思い切ってやめてしまえばかなりの減額になります。出入りは居間
に縁側を付けて庭から出入りするようにします。田舎の農家の家は玄関はあり
ますが、日常的には縁側から出入りしています。これを都市型住宅に導入する
ことは不可能ではないと思います。

勝手な案を提示させていただきましたが、自分がやりたいことが明確になって
いる方は理想を曲げずに、リスクとメリットをよく検討して、少し非常識と思
われるような減額案を導入しても良いのではないでしょうか。そうすることに
より空間に新たな魅力が生まれることも考えられます。常識に流され、余り考
えずに理想の空間をあきらめてしまうことがあれば残念です。いい意味で少し
悪あがきをしてみても良いと思います。






///// 03 マンションの完成まで //////

マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事を、設計事務所の立場から紹介
させていただきます。マンションはどうやってできるのか、どれだけの作業が
必要なのかご理解いただければ幸いです。


   No6 「実施設計2」

実施設計時に新たに作成する図面は、特記仕様書、平面詳細図、天井伏図、展
開図、部分詳細図、建具表、家具図、衛生機器図、昇降機図、外構図、植栽図
、サイン計画図等です。また仕上表と矩計図には確認申請図にかなりの修正を
加えます。

特記仕様書は図面の形になっていますが殆ど文字だけの図面です。設計図の中
では特記仕様書の内容が最優先されます。共通の認識がもてる部分に関しては
図を省略して文字だけで表現するようになっていて、よく出来た特記仕様書は
作図作業を楽にしてくれます。それだけにとても重要な図面で一文字間違える
と、見積金額が数百万変わることあるので慎重に作らなければなりません。通
常は計画の全体を理解している担当者が作成します。

作業量として一番大変なのが展開図です。多くの場合全てのタイプの展開図を
用意するようにディベロッパーから指示されます。見積をする場合は基本プラ
ンの展開図と部分図があれば問題ないと思いますが、全てのプランの展開図が
あったほうが販売しやすいことが理由のようです。今はなるべくバリエーショ
ンを増やして販売することが多いので50枚ぐらい展開図を描くことも珍しくあ
りません。展開図だけは外注をして図面を描かなければ間に合いません。ただ
最近はCADが出来たおかげで、似たタイプをコピーして少し修正を加えれば出
来るタイプもあるので、その点は助かっています。

家具図、衛生機器図、昇降機図は各メーカーが描いてくれます。この時点で受
注は決まっていないのですが、図面を描くことによって受注できる可能性が相
当高くなるので、既製品関係はお願いすれば喜んで描いてくれます。逆に仕様
がそれぞれ特別なので、設計事務所で全てを描くことは難しくなりました。

外構図、植栽図、サイン計画図は最後の作業という感じです。建物本体から独
立しているので、最後に一気に終わらせるようなことになります。しかし、仕
様によって金額が大きく変わる部分のなので注意しなければなりません。また
外構図は敷地に大きな段差がある場合には重要な図面になります。

上記の意匠図の他に、構造関係図と設備関係図も修正します。構造関係図は確
認申請図に部分詳細図が加わります。設備関係図は確認申請図に床暖房図等が
加わります。意匠図とあわせると300枚近くになることが多く、これを入札に
参加する建設業者数分用意します。図面の山をディベロッパーに届けて納品完
了です。設計作業の中で一番ほっとする瞬間かも知れません。

その後、入札参加建設業者を集めて現場説明会を開き、質疑回答を経て入札と
なります。最低金額を入札した建設業者とディベロッパーの間で細かい打ち合
わせを経て契約業者が決定します。

次回は、近隣説明についてご紹介させていただきます。





///// 04 建築の本棚 /////

建築に関わる仕事をしている以外の方でも、楽しんでいただける建築関係の本
を選んで紹介させていただきます。

今回紹介させていただく本は

    
    「現代住宅研究」        塚本由晴+西沢大良 著
                     INAX出版 2200円+税


子供の頃、誰でも植物図鑑や動物図鑑を持っていたと思いますが、まさにこの
本は現代住宅の図鑑です。ただし評論が中心になっておりますのでカラー図鑑
の類ではありません。約500ページの本書は1/400(一部1/600)で統一された
図面が大量に出ていて、テーマ毎に作品をまとめ、それに対する作者の評論が
掲載されています。私は全てを読ませていただきましたが、ある程度の基礎知
識がないと内容がわからない部分もあると思います。ただ網羅性に優れていて
、本書で解からない内容は本書の別の部分を読んでいるうちに解かったりする
ので、忍耐力のある方が、3回ぐらい繰り返して読めば基礎知識がなくてもか
なり理解できると思います。そこまで本書に関わるような住宅マニアでなくて
も、パラパラめくって、気になった図面に出会ったら評論を読んでみるという
スタイルで十分楽しめます。資料的価値が高くコストパフォーマンスに優れた
本です。建築を職業としていない方が本書を手にして、どの様な印象を持たれ
るかとても興味があります。

最後にプロローグの一部を抜粋させていただきます。

「われわれの評論が10年後に全く読むに値しないものになっていたとしても、
この図版のコレクションは輝きを失わないと断言できるぐらいに、日本の現代
住宅は厚みがあるということを、改めて実感している。」 塚本由晴


※先週、第005号で紹介させていただいた「建築MAP東京」(通常版)の地
図のサイズを1:1500と記載しましたが、正しくは1:1000の誤りです。大変申
し訳ございませんでした。





///// 05 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家や書籍のなかで印象に残った言葉を紹介させていただ
きます。


 「設計を仕事にしたかったら、利用できるものは何でも利用すること」

印象が余り良くない言葉と思われるかも知れませんが、この言葉は大学時代建
築計画の講義中に先生が話された言葉です。決して人を出し抜くようなことを
するように教えていたわけではありません。設計の仕事は安定していなく、し
かもプライドを保ち存在感を示さなければ、続けることの出来ない仕事です。
この言葉のようなバイタリティを持たなければ到底続けることは出来ない、と
いうことを伝えたかったのだと思います。

建築家は絵を描いているだけではダメで、人との繋がりがとても重要です。い
くら才能があっても最初はゼロからスタートするわけですから、なかなかお金
を出してくれる人にはめぐり合えません。また簡単にお金を手に入れようとす
れば、直ぐに自分の理想とかけ離れたところに行くことになってしまいます。
だから積極的に多くの人と関わりを持って、自分をアピールしていかなければ
いけないということです。

この言葉をずっと忘れずにいた自分は、どちらかといえばシャイで人付き合い
が苦手な人間です。リスクばかりを気にして、結局何もやらずに終わるという
パターンの連続で今まで歩んできてしまったような気もしています。良い意味
で「利用する」には大変な労力が必要であることが、経験を積んで解かって来
ました。また信頼を築き「利用される」人間になることも大変です。自分を磨
き正しく利用され正しく利用することが出来るようにならなければいけないと
思っています。


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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                    http://www.commonplace.jp/
                      
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【発 行】コモンプレイス スタジオ      commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘            masahiro ikezawa
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