HOME 事業案内 製品案内 会社案内 お問い合わせ

『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
メールアドレスを入力してボタンを押すと登録・解除できます。
登録フォーム
解除フォーム
まぐまぐ
『まぐまぐ!』から発行しています。

■ メールマガジン
・・・・・・・バックナンバー第007号

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<<前号最新号次号>>






━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  ・・・これからの住宅設計・・・      第007号(2007.05.14)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

--------メールマガジンキャンペーン実施中! 
               ホームページをご覧ください。------------

「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

耳寄り情報やお買い得情報は余り掲載できないと思いますが、住宅設計者とし
ての経験や理念をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機
会を提供することを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。

                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘
                      http://www.commonplace.jp/



■目次

 01 今週のコラム--------------和室の将来
 02 住宅設計入門--------------No.7 パブリックとプライベート
 03 マンションの完成まで------No.7 近隣説明1
 04 建築の本棚----------------建築の本の紹介
 05 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉



///// 01 今週のコラム //////

「和室の将来」

最近のマンションは和室のない住戸が増えてきました。私が建築の仕事を始め
た頃は必ず一部屋は和室を設けるように、施主から要望があったものですが最
近は和室は不要と言われることが多くなりました。

和室がなくなることによって、床に座り込む生活が減り、椅子を使う生活に変
ります。日本人にとって、座の生活の大きな変化は革命的な出来事であるのに
、モダンリビングの普及のという大きな波は、それを飲み込んでしまった観が
あります。寝室は布団からベッドに変り、居間はコタツからテーブルやソファ
に変ります。時折、昔の生活スタイルが見直されることは一時的にあるにせよ
、長いスパンで考えればこの傾向はこのまま続いていくと思われます。エアコ
ンや床暖房の普及や、ユニバーサルデザインの浸透などが、この傾向に拍車を
かけているような気もします。

今後、日本人の和室空間との関わりは、日常的空間から非日常的空間に変って
くるでしょう。今までは生活の中心にあった和室は、接待空間などの特別に使
われる空間へと認識が変ってくると思います。

ただそうは言っても、地方の新築戸建住宅は殆ど和室で構成されている住宅も
珍しくありません。和室には便利な機能が備わっています。例えば床で作業が
出来ることがあげられ、洗濯物を床に広げて折りたたんだりするにはとても便
利です。また座布団一つで席が出来、集会や冠婚葬祭行事に適応しています。
日常生活に深く溶け込んでいる部分もあり、和室が日常から消えるまでに相当
な年月が掛かるかも知れません。

和室中心の生活がなくなっても日本人の生活から、床に座る生活スタイルが消
えることはないような気がします。欧米のように家の中で靴を履く生活スタイ
ルにはならないのではないでしょうか。生まれたときから、和室のない家で育
った子供は、自由に寝転べる畳にどの様な感情を抱くか聞いてみたい気がしま
す。



///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に対するアドバイス
をさせていただきます。

第7回のテーマは「パブリックとプライベート」

住宅の間取りを考えていく上で、パブリックスペースとプライベートスペース
の分離を必ず意識します。パブリックスペースは居間、食堂、水廻り等家族が
自由に出入りできるスペース及び来客スペースです。プライベートスペースは
寝室、子供部屋等の家族個々が使用するスペースを指します。

部屋の配置だけではなく、動線(その部屋に行くまでの経路)をなるべく重複
しないようにしなければいけません。来客者が子供部屋の前を通って、客間
(居間)に行くような動線は避けた方が良いと思います。

一般的なパターンは、1階にパブリックスペースを持って行き2階にプライベー
トスペースを配置するやり方です。最初にこのやり方を試みて、上手く行かな
かったり、工夫を加えたかったりした場合に、他のパターンを考えるのが定石
といえるでしょう。

実はこの一般的パターンを崩すことは、楽しい空間創りに繋がることが多いの
です。例えば都市型住宅で庭が殆どない場合、2階にパブリックスペースを持
っていったほうが、開放性のあるリビングダイニングスペース創ることが出来
ます。また1階の面積に余裕が出来るので、駐車スペースを配置しやすくなる
ことも利点です。注意しなければならないのは、2階にパブリックスペースを
持ってゆく場合玄関近くに階段を設け、来客者をスムーズに2階に導くことが
大切です。また防犯上1階に誰もいなくなる時間帯が長くなるので、セキュリ
ティシステム導入等の検討が必要かも知れません。

敷地が長方形をしている場合は、1階居間食堂の奥へ夫婦の寝室をに持って行
き、子供部屋だけ2階に配置します。こうすることによって、夫婦の寝室と子
供部屋を分離でき、2階の余ったスペースは1階の居間上部の吹き抜けにして、
気持ちの良いリビングダイニングスペースを創ることが出来ます。寝室と水廻
りが近くなることも利点に挙げられます。

一定のルールを守りながら、敷地条件等にあわせて創意工夫することはとても
楽しいことです。上手くまとまった時の充実感、期待感は家を創る上で大切な
ものだと思います。





///// 03 マンションの完成まで //////

マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事を、設計事務所の立場から紹介
させていただきます。マンションはどうやってできるのか、どれだけの作業が
必要なのかご理解いただければ幸いです。


   No7 「近隣説明1」

マンション建設の際、殆どの場合近隣説明会を開きます。これは各行政庁(市
、区等)の中高層指導要綱に従ったもので、一定以上の高さの建物を建てる際
行わなければなりません。近隣説明が上手く行かないと、販売価格に影響が出
たり、完成時期が遅れたりすることもあり、大変重要な仕事です。

近隣説明会は通常ディベロッパーが主体になって行います。設計事務所は設計
に関わる質疑が出た場合に回答できるように参加しますが、事業に関わること
なので余り積極的に発言しません。技術的なことを理路整然と説明すると、近
隣の方の意見を一方的に否定しているように受け止められて話がこじれること
もあるので、なるべく黙って議事の進行を見守ることにしています。

近隣の方にとって、自分の家の直ぐ近くに大きな建物が出来ることは大問題で
、それにより環境が一変してしまうこともあります。ですから建設反対の考え
に迷いは無く、自分たちは100パーセント犠牲者だと思っています。

一方、ディベロッパーは近隣に日影をつくり、景色を悪くし、視線に拠り生活
に影響を与える可能性がある事を申し訳なく思ってはいます。ただ法に触れる
事は一切やっていない自負があり、サラリーマンとして事業を成立させる任務
を滞りなく実行することは当然と思っています。

この話し合いは簡単には折り合いが付きません。近隣の方は、さすがに工事を
中止に追い込むことは無理だと直ぐに気付きますので、要望事項を提示します
。具体的には、1.視線を隠すために近隣に面するガラスはスリガラス(曇りガ
ラス)にすること、2.音が出る機械駐車に防音壁を設けること、3.日影が延び
ないように、または視線が届かないように階数を一層減らすこと等です。

これに対してディベロッパーは1.2.は認めても3.は認められません。マンショ
ン事業は、最後の数戸の売れ行き次第で利益が出るかどうか決まる事業です。
最上階は一番環境がよく高い値段が付けられます。また法規の関係で、最上階
の住戸を他の部分に積み上げることは殆どの場合出来ません。(出来る場合、
検討の余地はあります)建設場所に拠りますが、最上階が3戸程度でも1億以上
の売り上げ減が考えられ、事業が成立たなくなってしまいます。これに対して
近隣側は誠意が感じられないと怒ってしまい、話し合いが平行線をたどること
になります。

まれに近隣側が納得できず裁判になることもありますが、建築基準法上は問題
がない建物を計画しているので、着工延期等で相手に損害を与えることは可能
ですが、近隣側に実質的利益が生じることは殆どありません。時間は掛かりま
すが、お互い納得できるまで話し合いを継続するのが一般的です。

次回は近隣交渉成立までを紹介させていただきます。



※先週、第006号の「実施設計2」におきまして、最後の文章で「最高金額を
入札した建設業者」は「最低金額を入札した建設業者」の誤記です。大変申し
訳ございませんでした。





///// 04 建築の本棚 /////

建築に関わる仕事をしている以外の方でも、楽しんでいただける建築関係の本
を選んで紹介させていただきます。

今回紹介させていただく本は

    
  「木に学べ-法隆寺・薬師寺の美」(文庫)     西岡常一 著
                       小学館 580円(税込)


この本は、20年ほど前出版された本ですが、今でも文庫版で手に入ります。薬
師寺西塔再建工事棟梁、西岡常一氏の語りが綴られた本です。既に亡くなられ
て10年以上になりますが、物事の本質を捉えた語りはいつの時代になっても通
用するものだと感じました。気さくな言葉で語られていますが、木の癖を見抜
いて適材適所に使う技を、十分に堪能できます。

宮大工が使う道具の話から、法隆寺、薬師寺の話へと続いていきますが、私が
一番心に残ったのは「宮大工の生活」という章です。道を究める者の見習い時
代からの話が語られていて、自分がいかに中途半端な人間か思い知らされまし
た。目標に対峙する気構えと、生活態度から磨きをかける鍛錬を読んで、苦難
に直面した時必ず力になると感じました。

失われつつある職人気質を改めて認識するのに丁度良い本です。古建築の基本
を学ぶことも出来るので、是非御覧になってください。



※先週、第006号で紹介させていただいた「現代住宅研究」の値段を「各2200
円」と表記していましたが、一冊なので「各」は不要です。大変申し訳ござい
ませんでした。





///// 05 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家や書籍のなかで印象に残った言葉を紹介させていただ
きます。


    「建築の設計は文学と同じ」

この言葉は学生時代、設計製図の授業で先生が話された言葉です。建築を設計
するときは機能を満たすだけではなく、使う人の性格や歴史を取り入れながら
、小説を書くようにストーリーを考えて取り組まなければいけないということ
です。

実は丁度その頃、構造設計に興味を持っていたもので、教えていただいた先生
に反論したことを覚えています。多くの人を納得させる数字的裏づけに則って
設計をするべきだと思っていたので「人の生活を想像で組み立てて仕舞うこと
は、建築家の高慢と思われても仕方がないのでは」というようなことを先生に
言ってしまったことを思い出します。本当に恥ずかしいことを発言しましたが
、先生は私の意見を否定せず、ただ設計の楽しさも大変さもまだわかっていな
いことを指摘されただけでした。その後、課題を提出し先生からお話を伺って
いくうちに、自分の至らなさに気がつきました。考えていたストーリーを押し
付けるのではなく、提案してクライアントの心を打つことが出来て初めて形に
なるのです。感動を呼ばないストーリーはクライアントは受け付けません。そ
れは文学も同じです。

数字的裏付けがいかに合理的であったとしても、それだけでは人を感動させる
建築は出来ません。感動を生み出すもには、時間や空間を人の心の中に印象付
ける発想や知恵が必要なのです。遠回りしても考えること、想像することの大
切さを教わりました。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                     http://www.commonplace.jp/
                       
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘         masahiro ikezawa
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright(C)2007 commonplace studio ALL Rights Reserved.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━









コモンプレイス スタジオ Copyright(C) 2007 -2011 commonplace studio All rights reserved.