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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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・・・・・・・バックナンバー第008号

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  ・・・これからの住宅設計・・・      第008号(2007.05.21)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

耳寄り情報やお買い得情報は余り掲載できないと思いますが、住宅設計者とし
ての経験や理念をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機
会を提供することを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。



                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘


※バックナンバーは全て下記ホームページで御覧いただけます。

                      http://www.commonplace.jp/


■目次

 01 今週のコラム--------------シャッター街
 02 住宅設計入門--------------No.8 庇について
 03 マンションの完成まで------No.8 近隣説明2
 04 建築の本棚----------------建築の本の紹介
 05 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉



///// 01 今週のコラム //////

「シャッター街」

最近、実家の近くで仕事があり、懐かしい街並みに触れる機会が多くなりまし
た。私の生まれ育った街は千葉県の真ん中辺りに位置し、人口が7万5千人位の
地方都市です。子供の頃の人口は現在の半分以下でしたが、駅の周辺は商店が
立ち並び活気ありました。ところが人口が倍以上になっているのに、今の駅周
辺の店舗はシャッターが24時間閉まりっぱなしです。

30年ほど前は、駅周辺半径2キロぐらいに人口が集中していました。今はかなり
離れた場所の畑を潰し、開発が進んでいるようです。またその元畑には広い売
り場面積があるスーパー、家電量販店、ホームセンター、書店が立ち並び生活
も便利になったようです。私も利用してみましたが、店舗内は清潔で品揃えも
よく、駐車場も広くて、人が少ない分東京よりも快適です。地方では車での移
動が日常化しているので、多少距離が離れていても全く問題がないと思われま
す。安く広い土地を入手できるので、その分サービスに資金をまわせるはずで
す。道路を走っていると突然、畑の中から家電量販店が現れるのでちょっとビ
ックリします。

畑の中の店舗は快適ではありますが、駅前にあった商店街のような活気はあり
ません。駅前の商店街は、一つ一つは小さな店舗でしたが、店舗同士の繋がり
が強く、利幅が小さい商売で朝から晩まで一生懸命働いていました。そこから
発生する生きる力そのもののような生命感に救われ、自分はその街に育てられ
た気がします。今はその生命感は全く感じられません。今でも残っているのは
自宅兼店舗の数店で、細々と商売をしている状況です。

今後どうなるか予想すると、駅周辺という土地の価値は残りますから、ブルド
ーザーで一度平にしてしまい、1階にショッピングモールがある高層マンショ
ンを建設する可能性が一番高いと思います。寂しい気持ちになってしまいます
が、期待できることがあるとすれば、今の世の中は物質的豊かさを追い求める
時代から変わってきていることです。駅から200メートルぐらい離れた場所に
は解体寸前の建物や空き地が見られ、高層マンションができて人が集まれば、
自然発生的に個性的な商店街がそこに生まれる可能性もあります。これから注
意深く見てゆきたいと思っています。





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に対するアドバイス
をさせていただきます。

第8回のテーマは「庇について」

庇の役割として、通常思い浮かぶことは雨を凌ぐことと直射日光を遮ることで
す。この役割を果たしつつ、庇は人の生活にいろいろな影響を及ぼします。

マンションなどの鉄筋コンクリートの住戸には、余り大きな庇は付いていませ
んが、窓の上部に霧除けという、出が20センチ位の庇が付いています。霧除け
は直射日光を遮る機能は殆どありませんが、中高層のマンションは壁を伝わる
雨水が大量なので、これを窓に掛からないようにしてくれます。建物は開口廻
りの浸水によって痛むことが多く、それを防ぐ意味で重要な役割を果たしてい
ます。また風向きによっては壁を伝わる雨さえ凌げば、雨の日でも窓を開ける
ことは可能です。大きな庇を付けられない場合でも、一寸した出を設ければ建
物にいい影響を与えます。

日光を遮る庇を作るときに考えなければならないのは、夏の太陽は高く上り、
冬の太陽は低いということです。関東地方の南中高度(太陽が一番高く上った
ときの地面と太陽の角度)は夏至で約78度、冬至で約30度です。夏至の日差し
が庇に当るようにし、冬至の日差しが部屋の奥まで届く長さに庇を調整すれば
、室内の快適さは増します。図面上で簡単にチェックできますので、機会があ
ったら試してみてください。

大きな庇は特徴ある空間を創り出します。開口の高さに拠りますが、2メート
ル位の庇を付けると、掃き出しの窓を開け放しにしても雨は室内に入ってきま
せん。庭に白玉石を敷き詰め、雨が滴り落ちるの眺めることを楽しめます。こ
のとき均一に雨水が滴るようにするため、軒先の施工に神経を使いますが、自
然を生活に引き寄せるにはいい方法だと思います。

その他、料亭などの入口の庇では、空間に奥行きを創って客を引き込む効果を
生んだり、オーニング(巻き上げテント庇)はオープンカフェや露店に利用さ
れます。

庇をただ付けるだけではなく、しっかり役割を与えて積極的に用いると良い効
果が期待できると思います。


日本オーニング協会 http://www.awning.org/index.html





///// 03 マンションの完成まで //////

マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事を、設計事務所の立場から紹介
させていただきます。マンションはどうやってできるのか、どれだけの作業が
必要なのかご理解いただければ幸いです。


   No8 「近隣説明2」

近隣交渉は近隣側、開発業者(ディベロッパー)側それぞれ立場が違い、それ
ぞれ自分の行動は正しいと思っているので、中々合意点を見つけるのは困難で
す。しかし、話し合いを進めていく内に近隣側は、開発業者が出来る範囲で、
近隣側の要求に対応しようとしていることを理解しはじめます。それにより若
干場の雰囲気は改善されますが、交渉の核心部分については中々理解を得られ
ません。

話し合いが平行線を辿って合意の道筋がつかないと、行政庁(市役所、区役所
等)に、あっせんや調停を依頼することはありますが、近隣側にとって事態が
急激によい方向に進むことは少ないようです。行政庁も法規違反をしていない
建物の規模を縮小するような調停案を提示すのは難しいと思います。多くの場
合、行政庁の担当者に間に入ってもらって、お互いが何とか我慢できるところ
で合意出来るように、話し合いを進めていくことになります。

近隣側にとって計画建物自体の不満もありますが、工事中の建設業者の対応も
とても気になります。休日の工事や、工事車両の出入り等について多くの要望
が出てきます。ところが、以外にもこの要望が解決に向かわせてくれる要因に
なることが多いのです。

近隣説明が始まった時点では、建設業者は決まっていません。話し合いが2ヶ
月3ヶ月と経過して話し合いの進展が見られなくなったころ、建設業者が決定
して近隣説明の打合せに参加してきます。このとき近隣側の要望の矛先は開発
業者から一気に建設業者に向けられるようになります。常識的な建設業者は近
隣対策費用も見込んでいますし、要望に対してきちんとした対応をとりますの
で、近隣側も安心します。それにより、開発業者に向けられていた敵意も薄れ
話し合いはまとまる方向に進みます。

私の経験では、建設場所の周囲に建設反対の幟(のぼり)がたくさん建てられ
ていた現場を担当しましたが、工事半ばで建設業者が約束を守って行動するこ
とがわかった時点で、幟を下げてくれました。粘り強く、相手の立場を理解し
ながら交渉を続けると、解決の糸口は見つかることを教わりました。

ここに上げた例は一例ですが、多くの近隣交渉は近隣側に不満を残しながらも
何とか理解を得ることが出来ます。泥沼化してしまい裁判になることもありま
すが、少ない例だと思います。ただ近隣側が「出来ないことは仕方が無いが、
出来ることを最大限やってもらう」という気持ちになるまでに、長い時間が必
要です。

結局、人に迷惑を掛けずに人は生きていけないことを、近隣説明会の度に教え
られます。建設関係に携わるものの業を考えさせられます。

次回はパンフレット作成を紹介させていただきます。





///// 04 建築の本棚 /////

建築に関わる仕事をしている以外の方でも、楽しんでいただける建築関係の本
を選んで紹介させていただきます。

今回紹介させていただく本は

    
  「建築家のメモ-メモが語る100人の建築術」  日本建築家協会 監修
                        丸善   2400円+税

この本は、建築家100人のメモ(スケッチ)とそれに対するコメントをまとめ
た本です。この手の本は大判で図版が中心の場合が多いのですが、A5サイズで
持ち歩いて電車の中でも読める本になっています。

記載されているコメントは、一人一人の建築家がしっかり書いていて読み応え
があります。中には観念的な文章で、私が読んでも良くわからないコメントも
ありますが、紹介したメモについて丁寧に説明しているコメントも多く、全体
を通して読めば、建築家と言う職業がメモとコメントからあぶりだされて来ま
す。

メモの描き方も使う道具も千差万別で、数多くの手法が表現されていて面白い
と思います。デザイナーであり、技術者であり、時には著述家である建築家と
いう職業の特徴が表れているのではないでしょうか。

多くの建築家を集めて特集組む試みは行われますが、ここまで明確に意図が伝
わる特集は珍しいと思います。私自身装丁も割りと大衆的で、パラパラと拾い
読みするつもりで購入しましたが、しっかり読み込んでしまいました。やはり
建築家は手を動かして、メモ(スケッチ)を残すことが好きなのでしょう。
100人集めた効果がきちんと出ている本です。





///// 05 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家や書籍のなかで印象に残った言葉を紹介させていただ
きます。


    「部屋の機能を決め付けない」

この言葉は、大学時代建築計画の授業で先生が話された言葉です。部屋に機能
をあてはめて、細かく空間を区切るのではなく、部屋と部屋の関連を重視して
設計をしなければいけないという意味です。

確かに設計を始めたばかりの頃は、ここは食事をする部屋、ここは就寝する部
屋と空間の意味を決め付ける傾向にありました。必要な機能をそろえたところ
で完成となるので、その方が設計が楽に完了します。でもそれでは生きた空間
構成は生まれません。

幾つかの生活行為があれば、それは独立したものではなく、多くの場合関連し
ています。たとえばトイレの前の廊下と、子供部屋の前の廊下では空間の意味
合いが違うはずです。それを旨く空間構成に結びつけなければ生活行為が分断
されたものになってしまいます。また機能と機能を結ぶことで新たな機能を生
み出すことあります。そこからは、日常的に通過している廊下で庭の植木を観
察して、手を伸ばせば触れることが出来る廊下を設けるような発想も生まれま
す。

空間に対して機能をあてはめるのではなく、空間に対する新たな意味を創り出
すことを考えなければ、生命力ある空間は創り出せないと思いました。



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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                     http://www.commonplace.jp/
                       
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【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘          masahiro ikezawa
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