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■ メールマガジン・・・・・・・バックナンバー第009号
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・・・これからの住宅設計・・・ 第009号(2007.05.28)
建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。
耳寄り情報やお買い得情報は余り掲載できないと思いますが、住宅設計者とし
ての経験や理念をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機
会を提供することを目指しています。
読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。
コモンプレイス スタジオ
代表 池澤 雅弘
※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
http://www.commonplace.jp/
■目次
01 今週のコラム--------------お勧め製品より
02 住宅設計入門--------------No.9 小さな土地に建てる
03 マンションの完成まで------No.9 パンフレット作成
04 建築の本棚----------------建築の本の紹介
05 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉
///// 01 今週のコラム //////
「お勧め製品より」
今回は最近気になった、住宅に関するお勧め製品を紹介させていただきます。
・システムバス新機能排水溝「くるりんポイ」-トステム株式会社
浴室のヘアキャッチャーにこびりついた髪の毛を掃除するのに苦労されている
方は多いと思います。この新機能排水溝は浴槽からの排水を利用して渦をつく
り、ヘアキャッチャーにまとわり就いている髪の毛をきれいにまとめてくれま
す。石鹸カスや油脂もきれいに流してくれるので、籠状になったヘアキャッチ
ャーを取り上げて、簡単にゴミ箱に捨てられます。電気もガスも使用せずに、
試行錯誤の上作り上げたことに価値があると思います。
トステム株式会社「くるりんポイ」
http://www.tostem.co.jp/lineup/utility/bathroom/kururinpoi/
・後付け庇「インターバイザー」-インターライト株式会社
住宅を創り、住み続けていくうちにここに庇が欲しいと思うことはよくあると
思います。しかし取って付けたような庇にしたくないし、外装材をはがすよう
な工事もしたくない場合にとても役に立ちます。軽量でデザイン性に優れ、多
くのサイズを用意しています。改修専用に開発されて物ではなく、新築の建物
にも常用されています。またホームページには、納まり図やCADデーターが用
意されていので、是非一度御覧ください。
インターライト株式会社
http://www.intalite.co.jp/index.html
・超小型住宅用火災警報器-日本フォンオール株式会社
以前この欄で紹介させていただきましたが、住宅用火災警報器の設置が義務化
されます。既に市場に多くの住宅用火災警報器が販売されていますが、従来製
品は直径15センチ高さ5センチほどの円筒形ですが、それに比べるとこちらの
製品は驚くほど小さいです。直径28ミリ高さ57から66ミリの円筒形で、フィル
ムケースを一寸大きくしたぐらいのサイズです。贅沢を言わせてもらえば、天
井に付けるとプロポーション的に少し目立つので、直径が50ミリぐらいでも良
いから高さを低くしもらいたいような気もします。全国的に相当な台数が必要
になるので、これからも次々と新しい住宅用火災警報器が開発されると思いま
す。
日本フォンオール株式会社-住宅用火災警報器
http://www.fenwal.co.jp/ssp/07.html
///// 02 住宅設計入門 //////
ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に対するアドバイス
をさせていただきます。
第9回のテーマは「小さな土地に建てる」
住宅を建てるときには当然土地が必要ですが、十分な敷地を手に入れるのはな
かなか難しいことです。小さな土地に住宅を建てる場合に、どの様な工夫が必
要か紹介させていただきたいと思います。
小さな土地といってもいろいろなレベルがありますが、25平米程度の土地に家
族4人が住むことを想定して見ます。土地が極端に狭い場合、1フロアー1室が
基本になり、間仕切りを設けず空間を縦に繋げたほうが気持ちの良い住宅にな
ります。1階に居間、2階にダイニングキッチン、3階に主寝室、4階に子供部屋
、できればその上にロフトを作り収納を確保します。各階の階段の脇に玄関、
トイレ、浴室、収納を重ねるように配置。各部屋の広さは6畳程度の広さにな
ります。また建物の高さを制限される場合は、地下室を設けます。
上記は一例ですが、土地が狭い場合どうしても縦に積み上げることになります
。それをいかに魅力的にするかがポイントになると思います。階段に使う面積
が大きいので階段を貧弱にしてしまう傾向にありますが、小さな住宅の階段は
ホールと廊下を兼ねているので、この縦に連なる空間を上手く生かしたほうが
効果的です。
各部屋は小さくなってしまいますが、小さな空間を大きく感じるようにするに
は、なるべく均質な空間にすることです。部屋の入口側は階段になりますので
、階段に窓を取り、その対面側に大きな窓をつくれば空間が広く繋がります。
狭い土地を有効に使う工夫はいろいろありますが、それによってできる「一寸
変った空間に住むこと」が楽しめれば理想的です。そして少々不便でも「この
土地に住む」という大きな期待と覚悟が必要です。
///// 03 マンションの完成まで //////
マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事を、設計事務所の立場から紹介
させていただきます。マンションはどうやってできるのか、どれだけの作業が
必要なのかご理解いただければ幸いです。
No9 「パンフレット作成」
パンフレットの作成は、基本的に広告代理店が行いますが、設計事務所は出来
上がった図面をチェックします。実はこのチェック作業が、とても大変なので
す。
まず最初に設計図を広告代理店に渡し、トレースをしてもらいパンフレットの
たたき台を作ってもらいます。パンフレット作成開始時には具体的な設計図が
があるのが普通です。ただ細かい部分が決まっていないことが多く、コンセン
トの位置や照明の位置は、ディベロッパーの担当者とパンフレットチェック時
に決めることも少なくありません。
パンフレットは契約図書の一部ですから、基本的に間違いは許されません。施
工上の理由で一部変更の可能性がある旨を記入しておきますが、単純な見落と
しなどは責任を問われても仕方がないでしょう。また広告代理店が描いて来て
くれる図面は、必ずしも建築の専門家が描いたものではなく、設計事務所が渡
した図面を正しく理解していないことがよくあります。ですからチェック作業
は隅から隅まで注意深く行わないと、引渡し時点で問題が生じます。特に梁の
位置、開口の位置、コンセントの位置、照明の位置等は、購入者が家具のレイ
アウト等の具体的なイメージを持って購入するケースが多いので、間違いがな
いようにしなければなりません。
パンフレットは印刷をしなければならないので、入稿時間が決まっています。
ディベロッパーに缶詰になって、入稿時間ギリギリまでチェックを行なってい
ると「もう限界です」と広告代理店の担当者に原稿を取り上げられたこともあ
りました。パンフレットの出来は販売に影響を与えるので、死力を尽くします
。ただ未決定要素が残っている状況で作業を進めているので、どうしても完璧
なものは作れません。
間違いが許されないとは言っても、訂正のチャンスは与えられます。設計途中
の段階で作ったパンフレットは計画上、施工上問題になる部分が見つかること
があり、空調機や換気口の移動や、雨樋(竪樋)の移動をしなければならない
場所が見つかったりします。その場合は訂正版を出させてもらいます。販売初
期で説明を加えながら訂正図を渡し、誠意をもって説明すれば、問題になるこ
とは殆どありません。訂正は出来る限り早く、正式契約前に行うことが大切で
す。また下がり天井の発生など、専用部分の重要な訂正は、入稿から販売開始
の間に訂正を済ませる必要があります。
設計事務所にとって、パンフレットに関わる重圧は相当のものですが、この作
業は設計契約に営業協力をする項目がありますので、基本的に無料です。分譲
マンション特有の仕事ですが、経営的にも体力的にも大変な仕事です。
次回はパース、模型の作成を紹介させていただきます。
///// 04 建築の本棚 /////
建築に関わる仕事をしている以外の方でも、楽しんでいただける建築関係の本
を選んで紹介させていただきます。
今回紹介させていただく本は
「家」 安藤忠雄 著
住まいの図書館出版局 2900円+税
この本は安藤忠雄さんがデビューしてから、1996年までに設計した住宅が解説
されています。10年以上前に出版された本ですが、今でも手に入れることが出
来ます。450ページ以上の厚い本ですが、そのうち半分が評論でもう半分が住
宅図面集になっています。住宅図面集は84の住宅が載っていて、安藤さんの住
宅をこれだけ多くまとめた本は他に知りません。今では巨匠の域に達した建築
家ですが、初期の作品を知ることが出来る貴重な本だと思います。
評論の方は、1972年から1995年までに初出した評論が集められています。初期
の頃の闘争心を感じさせられる文章は安藤さんの原点だと思います。安藤さん
は工業高校を卒業後大学へは行かず、殆ど独学で建築を勉強して設計事務所を
設立しました。まさに若い頃はエネルギーの塊で、猪突猛進で建築の世界を突
き進んでいた印象を持ちます。初期の作品と評論には、何を信じ、何を求めて
安藤さんが努力を重ねてきたか読み取ることが出来ます。安藤忠雄の作品に興
味のある方もない方も、一読されれば「行動する勇気」「目標に立ち向かうエ
ネルギー」を与えてくれる本ですので是非御覧ください。
///// 05 師の言葉 /////
私が実際に接した建築家や書籍のなかで印象に残った言葉を紹介させていただ
きます。
「面白くない仕事は速く終わらせることを楽しむ」
この言葉は、学生時代に設計事務所でアルバイトをしていたときに言われた言
葉です。私が設計の仕事に就いた頃、徒弟制度的な雰囲気が設計業界に残って
いて、一番若い者は一日中図面を焼いたり(コピーを撮る意味です。)折った
りすることは珍しいことではありませんでした。単純作業だし、腰も痛くなり
ます。大分やったと思っても全体の1/10も終わっていないことが多く、こんな
ことをやるために建築を勉強して来た訳ではないとよく思ったものです。
能率の上がらない私を見かねて、事務所のチーフが「面白くない仕事は速く終
わらせることを楽しむようにした方が辛くないし、為になることも多いよ」と
教えてくださいました。
確かに1枚図面を焼く時間で2枚焼けるようになれば楽しくなってきます。スポ
ーツをしているように楽しさがあったと思います。時給で雇っているほうはバ
イト代が安上がりになって大助かりでしょうが、やらされている方も辛い仕事
をだらだらやっているよりずっと楽でした。
思わぬ収穫は、建物を創るためにどの様な図面を描かなければいけないか、図
面を焼いたり折ったりしているうちに実についたことです。遮二無二に図面を
焼いた後、終わりましたと図面を渡した時に、図面の内容を聞けば所員の方は
喜んで教えてくれました。つまらないことでも一生懸命やると、良い結果がつ
いてくることを教わりました。
図面の山と格闘した時、何も感じることがなければ、建築の設計を今でも続け
ていることは無かったような気がします。
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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。
住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
てメニューを用意しています。
1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
形で家創りが進められます。
2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。
3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。
その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。
http://www.commonplace.jp/
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【発 行】コモンプレイス スタジオ commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘 masahiro ikezawa
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