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■ メールマガジン・・・・・・・バックナンバー第011号
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・・・これからの住宅設計・・・ 第011号(2007.06.11)
建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
published by commonplace studio
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---------住宅間取り図の無料チェック始めました。
ホームページをご覧ください。------------
「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。
建築設計、住宅設計に関わる話題を取り上げ、住宅設計者としての経験や理念
をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機会を提供するこ
とを目指しています。
読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。
コモンプレイス スタジオ
代表 池澤 雅弘
※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
誤字等も含めて、記事の訂正が必要な場合は、ホームページ上で修正させて
いただいています。
http://www.commonplace.jp/
■目次
01 今週のコラム--------------新しい形のキッチン
02 住宅設計入門--------------No.11 収納面積について
03 マンションの完成まで------No.11 モデルルームの建築
04 建築の本棚----------------建築の本の紹介
05 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉
///// 01 今週のコラム //////
「新しい形のキッチン」
生活のオール電化が普及して来ましたが、その中でもガスコンロからIHヒータ
ーへの変革は画期的なことだと思います。サンウエーブ工業株式会社が発表し
たシステムキッチン「スタイル キッチン」はIHヒーターを取り入れ、システ
ムキッチンの概念を大きく変えました。
一番に挙げられることは、IHヒーターの導入によりレンジフードを無くしてし
まったことです。ガスコンロに比べて燃焼ガスを発生させないうえ、炎を使う
場合に比べて熱による上昇気流が弱くなることにより、空気洗浄システムを導
入し排気をキッチンの背面から室内に出す方式を採用しています。レンジフー
ドが無くなれば、キッチンのレイアウトも自由になりますし、後々の移動も可
能になります。ダクト工事も不要なので天井がすっきりし工事費削減になりま
す。また建築計画的にも画期的なことで、普及すれば住宅に大きな変化をもた
らすと思います。しかしメンテナンス上幾つか条件が付くようなので、下記の
ホームページを御覧ください。
IHヒーターを導入したキッチンは、カウンター上にゴツゴツした五徳がなくな
るのでどこのメーカーもすっきりしたデザインになっています。「スタイル
キッチン」も一見するとキッチンには見えない形をしています。キッチン下部
の収納はワゴンになっていて取り外すことが出来、食卓に持ち込んでサイドテ
ーブルとして利用できるようになっいます。また両サイドからの利用が可能に
なっていて、背板がなくワゴンを取ってしまうと机のように向こう側が見えま
す。その形状は斬新ですので是非ホームページを御覧ください。
恐らくキッチンの配置の自由度から、両側から使用するコンセプトが浮かび上
がり、そこからワゴン利用と繋がっていったと思いますが、全てが新しいキッ
チンを生み出す方向に向かっていて、成功した例だと思います。
多くの利点を挙げましたが、話題にするのは簡単で実際に長い間ご使用する立
場の方は、新しいものには必ずある程度の制約があることを考慮して選択して
いただきたいと思います。ただ新しい時代に突入したことは間違いなさそうで
す。これから各メーカーで次々と新製品が開発されることが予想されます。
サンウエーブ 「スタイル キッチン」
http://www.sunwave.co.jp/products/kitchen/style_kitchen/index.html
///// 02 住宅設計入門 //////
ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に対するアドバイス
をさせていただきます。
第11回のテーマは「収納面積について」
建築雑誌の写真や、マンションのモデルルームはなぜ美しいのでしょうか。そ
れはものが無いからです。生活における象徴的なものだけを使い空間に装飾を
与えているだけで、日常生活から出てくる雑多なものをなくしているから美し
くなると思います。
家を建て暮らし続けていく中でも、ものが散らかっている状態を無くし、整然
と美しい空間を維持したいと願うのは当然のことだと思います。ものを隠すた
めの収納を少しでも余計に取りたいと殆どの施主は希望します。マンションの
場合は通常、住戸の面積の約10パーセントの収納を取るようにディベロッパー
から求められます。戸建住宅でもまずは10パーセント以上の収納を確保するよ
うに計画することは間違っていません。ただ面積が限られている都市型の住宅
で、15パーセント、20パーセントと収納の割合を高めていくことはお勧めでき
ません。
長年暮らし続けても、空間を豊かに使い続けている方のお宅を拝見すると、部
屋に調和した家具が上手に置かれていることに気付きます。収納の質を高める
ためには、大きな物や、しばらく使わないものを作り付けの収納に仕舞い、生
活を続けていく中でふえていくものは家具を利用して、それを上手く部屋の中
にレイアウトしていった方が良いと思います。何もかも住宅を建てるときに作
った収納に押し込むことは、建築時の収納面積を余計に使ってしまい良い結果
をもたらさないと思います。
生活スタイルは長い年月の間に変ってくるものですから、空間になじむ家具を
増やしていく方が豊かな空間を生み出します。また少し贅沢をして家具を選べ
ば、愛着が持てるし、それがオブジェになり生活空間に良い表情をもたらしま
す。例外として本の収集、レコードの収集、他大量の収集を趣味としている方
は、住宅を建てるときに収集物自体が空間を作り出す収納力のある家具を作り
付けておくことは必要だと思います。
いつまでも整理された気持ちの良い空間を保つには、建築時に収納面積を増や
すのではなく、むしろ将来家具を置くことの出来るスペースを確保する方が有
効だと思います。
///// 03 マンションの完成まで //////
マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事を、設計事務所の立場から紹介
させていただきます。マンションはどうやってできるのか、どれだけの作業が
必要なのかご理解いただければ幸いです。
No11 「モデルルームの建築」
分譲マンションの購入を考えたことがある方はご存知だと思いますが、殆どの
マンション販売でモデルルームを作ります。最初にマンションの設計を担当し
たときは、販売の為に完成住戸を実際につくってしまうことに驚きました。販
売が完了したら壊してしまうので、凄くもったいない印象を持ちました。しか
しモデルルームこそマンション販売の本丸で、ここから全てが始まるといって
も過言ではありません。
一般にモデルルームと販売事務所は同じ場所に作られます。チラシやポスター
など多くの広告を出しますが、完成した住戸を実際に体験出来ることに勝るも
のはありません。視覚と触覚に訴えることが出来る唯一の場所といってよいで
しょう。いい感触を得たお客様には営業担当者が販売事務所で詳しい説明をし
、上手くすれば契約の内諾をいただけます。モデルルームがなければ、購入希
望者と面接する機会をつくるのは大変なことです。やはりお金をかけて作るだ
けの価値はあると思いました。
モデルルームを作る具体的な作業として、ディベロッパーが選択したタイプの
住戸の図面を施工業者(マンションを建設する施工業者とは違うことが多いで
す。)に渡し施工図を描いてもらいます。施工図とは設計図を元に、実際に建
物を作る為の詳細図で、使用するボードの厚さや仕上材料、コンセントの位置
や照明機器の配置も明記されています。時期的には実施設計の頃と重なります
ので、細かい部分が決まっていないことが多く、とりあえずモデルルームにす
るタイプを先行して細かい部分まで仕様を決定します。上手く行かないところ
は、モデルルームを作りながら変更を加えることもあります。モデルルームは
販売用に作るものですが、結果として仕様を最終的に決める為の原寸模型の役
割を果たすことも良くあります。
施工図が出来上がると、チェック作業に入ります。モデルルームと現実に出来
るマンションで相違で点があれば、購入者からクレームが出ますので、パンフ
レット作成の時と同様に慎重にチェックします。
図面を承認してしばらくすると、完成が近いので現場を見て欲しいとディベロ
ッパーに依頼されます。この期間は大変短く感じ、今まで紙の上でしか存在し
なかったものが、いきなり目の前に現れるので、感動と驚きと心配が混ざった
ような気持ちになります。細かい部分を確認して、幾つか修正箇所を指摘すれ
ば、モデルルーム施工に関する設計事務所の仕事は完了です。その後スタイリ
ストが乗り込み、部屋の中に家具や小物を配置します。販売資料用の写真を撮
影しマンション販売の準備はほぼ整います。
モデルルームはマンション本体工事にも大変役立ちます。図面でわかりにくい
部分は、モデルルームを見てもらうのが一番伝えやすく、コンセントやスイッ
チの高さなど仕様の統一に役立ちます。現場が始まると何回か、モデルルーム
の見学会を開き建設業者は数百枚の写真を撮って施工資料を作ります。モデル
ルームを作るにはとても費用が掛かりますが、販売の為だけではなく、施工の
効率性、信頼性の向上に役立っている点からも価値あるものです。
次回は工事着工を紹介させていただきます。
///// 04 建築の本棚 /////
建築に関わる仕事をしている以外の方でも、楽しんでいただける建築関係の本
を選んで紹介させていただきます。
今回紹介させていただく本は
「スズキ不動産-デザイナーズマンション情報 Vol.1 Vol.2」
鈴木紀慶 著
ギャップ出版 各1800円+税
この本はBRUTUS誌(マガジンハウス刊)の連載「ブルータス不動産」を加筆し
てまとめたものです。筆者は建築ジャーナリストですが、一般向けに書かれて
いる本なので、居住者の話なども取り入れ楽しく読める本になっています。紹
介されている作品は殆どが賃貸マンションで、連載当時は実際に入居すること
も可能でした。
デザイナーズマンションは建築作品の大衆化を薦めたのではないでしょうか。
普通より少し余計にお金を払えば、名前の知られている建築家の設計した住宅
に住むことが出来ます。この本に取り上げられているマンションは、かっこい
いだけの建築ではなく、必ず何か新しいものを求めた建築的に意味のある建物
ばかりです。著者は物件情報誌的に建築家の作品を「物件」と紹介し、大衆の
中に建築家の職能を浸透させ普及させようとする意図を感じます。
この本を御覧になられた方は、建物の外見に意識を向けられる傾向があると思
われますが、是非プランに注目してください。多くの工夫が盛り込まれていま
す。住宅を建てようと思われている方が御覧になれば、当たり前からの脱却に
魅力を感じると思います。
建築専門誌のように、完成直後の姿ではなく実際に入居している姿を写真で紹
介している点も興味深い部分です。出版されて既に5年が経過し、手に入れに
くい本になってしまいましたが、Amazon等を利用すれば購入できますので機会
があれば是非御覧になってください。
///// 05 師の言葉 /////
私が実際に接した建築家や書籍のなかで印象に残った言葉を紹介させていただ
きます。
「どんな仕事でも3年ぐらいは面白いことはある」
この言葉は学生時代にアルバイトをしていた設計事務所で、美大出身の所員の
方に聞かされた言葉です。その設計事務所はハウスメーカーから仕事をもらい
ながら、たまに事務所の作品としての設計依頼を受ける状況で仕事をしていま
した。面白い仕事だけでは食べていけないということです。
ところがその所員の方は、ハウスメーカーの下請け仕事を生き生きと見事にこ
なしていました。美術的才能が豊かで、自分の思い描いた作品を創ることに時
間を掛けたいと願うのが当然で、取り決められたルールの上でしか力を発揮で
きないハウスメーカーの仕事に、どうしてそんなに一生懸命になれるか聞いて
みると「どんな仕事でも3年ぐらいは面白いことはある」と話してくれました。
ハウスメーカーの仕事はツーバイフォー住宅の設計の仕事で、施主の話を聞い
て基準に倣ってプランを組み立て図面を仕上る仕事です。この仕事の中にも覚
えること役に立つことは沢山あります。身に付ける前に投げ出してしまうこと
を続けていると、なにも身に付かないことを「3年ぐらい」という言葉から教
わりました。また、ものを創る人間はその面白さに気付かなければいけないこ
とも教わりました。そして一通りのことを覚えたら、どこに羽ばたこうと自由
だということです。
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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。
住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
てメニューを用意しています。
1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
形で家創りが進められます。
2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。
3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。
その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。
http://www.commonplace.jp/
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【発 行】コモンプレイス スタジオ commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘 masahiro ikezawa
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