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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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■ メールマガジン
・・・・・・・バックナンバー第014号

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  ・・・これからの住宅設計・・・      第014号(2007.07.02)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

建築設計、住宅設計に関わる話題を取り上げ、住宅設計者としての経験や理念
をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機会を提供するこ
とを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。



                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘


※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
 誤字等も含めて、記事の訂正が必要な場合は、ホームページ上で修正させて
 いただいています。

                      http://www.commonplace.jp/


■目次

 01 今週のコラム--------------エコガラスについて
 02 住宅設計入門--------------No.14 窓の位置を意識する
 03 マンションの完成まで------No.14 工事監理-杭打、基礎工事
 04 建築の本棚----------------建築の本の紹介
 05 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉



///// 01 今週のコラム //////


「エコガラスについて」

最近「エコガラス」という言葉をよく耳にします。エコガラスとはLow-E ガラ
スを用いた複層ガラスのことで、ガラス自体は20年ほど前から存在していまし
た。昨年の4月から板硝子協会の会員3社(旭硝子株式会社、日本板硝子株式会
社、セントラル硝子株式会社)で製造するLow-E複層ガラスを「エコガラス」
の共通呼称として、CO2の削減と地球温暖化防止を呼びかけるキャンペーン活
動を開始してから、世の中に広く知られるようになりました。

複層ガラスは2枚のガラスの間に10ミリ程度の空気層を設けたガラスです。エ
コガラスはこの複層ガラスの外側のガラスの空気層側に、熱を遮断する効果が
ある特殊金属膜が被覆されています。通常のガラスに比べて、複層ガラスだけ
でもかなりの断熱性能向上が期待できますが、それに特殊金属膜の効果が加わ
り優れた断熱性能を持つガラスです。詳しくは下記のエコガラスのホームペー
ジを御覧ください。

板硝子協会によると、東京都内において、戸建住宅の全ての硝子をエコガラス
に変えると戸あたり年間5万円程度の冷暖房費が節約できるそうです。冷暖房
費の節約は環境問題対策に繋がり、CO2削減に役立ちます。また結露防止に効
果を表すことも強調しています。導入にあたり、一枚硝子の窓に取り付けられ
るアタッチメントも用意されているので、複層硝子を使用していない既存の住
宅に設置することも出来ます。

私の考えを付け加えさせていただくと、夏の日差しは庇や軒を延ばしたり、窓
の外側にブラインドを設けたほうが効果的だと思いますが、既存の建物に庇を
付けることが難しかったり、ブラインドのメンテナンスに手間がかかるといっ
た問題もあるので、導入のメリットはあると思います。また冬の暖房時に窓側
の室温が下がり不均一が生じると、不快感が増し質の悪い暖房になってしまい
ますので、それが解消される点は評価できます。暖房費を節約出来た上に、か
なりの快適性が期待できます。ただ冬の晴天時、太陽光に拠る室温の上昇効果
に関しては、逆に不利に働くので注意されたほうが良いかも知れません。

板硝子協会はビジネスも絡めて、環境対策に有効なエコガラスを推奨していま
す。現在の生活環境を考えれば正しいことのように感じます。ただ部屋を閉め
切って、室内を冷暖房することを前提にした環境対策が正しい方向に向かって
いるかどうか疑問もあります。


板硝子協会-エコガラス
http://www.ecoglass.jp/index.html





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に関するアドバイス
をさせていただきます。

第14回のテーマは「窓の位置を意識する」

通常、住宅を設計するときに先ず平面図(間取り)を考えると思います。平面
図のイメージが固まると、日常的な機能を満たす開口部を設け、外観を創り上
げていくことになります。設計の仕事をしていると平面図の概要が決まった時
点で大体の外観は頭の中に出来ていて、途中から平面と立面を一緒に考えなが
ら設計を進めるようになります。勿論、外観に関して最初から明確な意図があ
る場合もあります。

設計を仕事にしていない方が自分の家を建てるとき、間取りが完成した時点で
ほぼ設計が完了したと思われているケースが多いのではないでしょうか。ハウ
スメーカーや工務店に直接依頼されている場合、多くの注文を付けられない状
況が考えられますが、窓の位置についてはこだわりを持っていただきたいと思
います。間取りを考えるのと同じように、窓の位置を考えることはとても大切
なことです。

マンションの設計では、一つの住戸だけ違う位置に窓を設けることは出来ない
ので、大体当たり前の位置に決まってしまいます。しかし戸建住宅の場合は基
本的に自由なので、一つ一つの窓に意味を持たせることが出来ます。窓は内と
外を繋げるもので、環境的にも外観的にも大変重要な意味を持っています。窓
の取り方で室内環境も外観も大きく変わってくるのです。

ピクチャーウインドウという言葉がありますが、気に入った景色を窓によって
切り取り室内から眺める意味を持っています。気に入った景色があれば、それ
が家の中から眺められる窓を創っていただきたいと思います。2階から自分の
家の庭を眺めるために、地窓を設けるのも楽しいかもしれません。外観的にも
低い位置に窓があると変化が生まれます。その他、夏の間に気持ちがいい風が
入ってくる窓や、強い西日が入ってくる小窓も時間の経過を感じさせてくれま
す。

家にある窓は、そこに暮らす家族の共通認識を生み出します。その家で育った
子供たちが、大人になっても思い出すような窓を是非創っていただきたいと思
います。





///// 03 マンションの完成まで //////

マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事を、設計事務所の立場から紹介
させていただきます。マンションはどうやってできるのか、どれだけの作業が
必要なのかご理解いただければ幸いです。


   No14 「工事監理-杭打、基礎工事」

地縄張りを済ませると、杭打工事が始まります。杭打に使う大きな重機が乗り
込んでくるので、本格的に工事がスタートする意識が高まります。以前、書か
せていただきましたがマンションでは場所(現場)打杭(現場でコンクリート
を地中に打設して杭を作る方法)が主流ですが、穴を先に開けておいて既製杭
や鋼菅杭を埋込む方法を行うこともあります。何れにしても近隣に振動や騒音
で大きな迷惑をかける打撃工法は行いません。

杭の最初の1本目は試験杭となるので設計事務所は、支持地盤の深さや、施工
状況を確認します。試験杭の施工に問題なければ、継続して他の杭の打設作業
を進めてもらいます。敷地の条件から杭工事を進める重機は1台となることが
多いので、場所打杭の場合1日に2本程度しか施工できません。そのため完了す
るまでに1ヶ月以上かることもあります。

杭の打設期間中に基礎の施工図を作成してもらいます。基礎の施工図作成は、
配筋の確認、設備配管が通る部分のスリーブ(配管の通る穴)位置の決定、人
通口の配置が絡んできて作成がとても大変です。特に設備関係の決め事は時間
がかかります。スリーブには補強が必要でコンクリートを打つ前に設置をして
おく必要があります。基本的にコンクリート打設後にスリーブを開けると補強
が入らず、鉄筋を切ってしまうので開けることは出来ません。後から間違えが
見つかりると、予備スリーブを使う配管ルートに変更したり、人通口に配管を
通したりすることを考えなくてはならず、勾配も関係するので大変な手間がか
かります。現場が始まる前から基本的な部分は検討しておいてもらわないと、
かなりバタバタすることが多いです。型枠を組み立てる直前に変更ということ
も珍しくありません。

杭打が完了すると、杭の頭が出てくるまで地面を掘削します。地下室があると
掘削工事も時間をかなり要します。また水が大量に出て来ることがあり、工事
がスムーズに進まないことも良くあります。近隣の土地に影響が出ることもあ
るので、慎重に作業を進めなくてはいけません。杭が出てきたらその位置を正
確に出してもらいます。杭の位置が設計と基準数値以上違っていると、基礎を
変更することになるので重要な仕事です。変更した場合、計画変更申請を提出
して確認済証を取らなければならなくなるので、結果がとても気になります。
杭の位置に問題が無ければ、施工図に従って基礎の施工に入ります。


次回は工事監理-配筋検査等を紹介します。





///// 04 建築の本棚 /////

建築に関わる仕事をしている以外の方でも、楽しんでいただける建築関係の本
を選んで紹介させていただきます。

今回紹介させていただく本は

    
     「宮脇檀の住宅 1964-2000」
                            宮脇檀 著
                       TOTO出版  1905円+税

建築家宮脇檀(まゆみ)をご存知でしょうか。私が学生時代(20年程前)、住
宅作家として、またオピニオンリーダーとしてトップを走る存在でした。若い
頃から大人を相手にしっかりした仕事をしていて、素晴らしい作品を数多く残
しています。残念ながら1998年に62歳で急逝されました。この本は2000年5月
にギャラリー間に於いて、追悼の気持ちが込められた展覧会「宮脇檀の住宅-
テーブルのまわりで」が開かれたときに発行された本です。この展覧会では建
築誌上に発表された81の住宅を全て1/100の模型にして展示していて、とても
充実した内容だったことを思い出します。私は会場の書店でこの本を手に入れ
ましたが、一般の書店でも購入できる本です。

「自分の住まいを考える」という、宮脇さん自信が住んできた住宅についての
文章に始まっていますが、住む場所を創ることの楽しさを教えてくれる文章で
す。続いて「9つの住宅と6つの言説」では代表作品と建築誌上で語られてた言
葉が紹介されています。建築写真家、村井修氏の写真がとても美しく、竣工し
たばかりの住宅になのに、時間を経過した生命感が宿っているような写真が多
数掲載されています。最後に81作品全ての平面図と解説が記されている充実し
た内容です。

改めて、作品を良く見ると宮脇さんの早熟性に驚かされます。大学を出て間も
ない時期に架構がしっかりしいてとても美しい作品を創っています。大人を感
動させ納得させる住宅だと思います。そして生活を中心とした住宅という形態
を崩さずに挑戦的な作品を創り続けてきた宮脇さんに敬服します。駆け足で過
ぎ去ってしまってとても残念です。住宅を創ろうと思われている皆様に是非手
にとっていただきたい本です。


ギャラリー間アーカイブ
http://www.toto.co.jp/gallerma/achive/exhbt_list04.htm
宮脇檀の住宅-テーブルのまわりで
http://www.toto.co.jp/gallerma/hist/ja/exhibi/miyawa.htm





///// 05 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家や書籍のなかで印象に残った言葉を紹介させていただ
きます。


    「少しずつ自分の形を出していく」

この言葉は、私が長い間お世話になった事務所の所長とマンションの住戸をど
の様に積み上げるか打合せをしているときに言われた言葉です。施主の要望に
従って問題が発生しない手法で、形状が決められていくことに私が疑問を感じ
たときに所長から「少しずつ自分の形を出していけばいいんだ」と言われまし
た。

今から15年程前のことですが、当時の分譲マンションは購入相手が特定できな
いこともあり、当たり障りの無いデザインが主流でした。またディベロッパー
がデザインについて強い要望を持っていなかったので、設計事務所が無難なデ
ザインを提示すればその通り作られることが多かったと思います。所長は責任
を取らなければならない立場にあるので、若い所員に冒険をされて問題になる
ことを心配して出た言葉かも知れません。ただ私は「少しずつ自分の形を出し
ていく」という言葉に教えられるものがありした。

アトラクティブな形態を表現しようとしても、施主がそれを望んでいなければ
何にもなりません。人に受け入れられるものを創っていくには、相手の立場や
考え方を理解してそこからスタートすることが重要です。建物の外観は細部に
気を使い丁寧にまとめると、形状を大きく変えなくても魅力を増すものです。
抑制された中でも、自分の考えたことを表現していくことが出来る力を身に着
けることの大切さを気付かされました。それと同時に「自分の形」と言えるよ
うなものが自分にあるのだろうかと考えさせられました。思いつきでは無く、
確かなものを見つけ出したいと思いました。


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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                 http://www.commonplace.jp/
                   
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【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘           masahiro ikezawa
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