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『これからの住宅設計』(ID:0000230971) 読者登録解除フォーム
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■ メールマガジン
・・・・・・・バックナンバー第016号

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  ・・・これからの住宅設計・・・      第016号(2007.07.24)

   建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
                published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を、読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。

建築設計、住宅設計に関わる話題を取り上げ、住宅設計者としての経験や理念
をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機会を提供するこ
とを目指しています。

読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。



                        コモンプレイス スタジオ
                          代表  池澤 雅弘


※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
 誤字等も含めて、記事の訂正が必要な場合は、ホームページ上で修正させて
 いただいています。

                      http://www.commonplace.jp/


■目次

 01 今週のコラム--------------「スキン+ボーンズ展」
 02 住宅設計入門--------------No.16 セキュリティの手法
 03 マンションの完成まで------No.16 工事監理-躯体図作成
 04 建築の本棚----------------建築の本の紹介
 05 師の言葉------------------心に残った建築に関わる言葉



///// 01 今週のコラム //////


「スキン+ボーンズ展」

「スキン+ボーンズ展」が東京乃木坂の国立新美術館で開かれています。(8月
13日まで)建築と衣服の融合をテーマにした展覧会で、昨年ロサンゼルス現代
美術館(MOCA)で開かれた企画展を日本向けに再構成しています。

昔から「衣服が人間に最も近い建築である」といわれていますが、建築も衣服
も身を守る為に必要な保護機能を持っています。また同時に個を表現する機能
を持っていて、この展覧会ではその類似点と表現の相違を検証しています。

スキン+ボーンズと聞けば、スキンが衣服を表現しボーンが建築を表現してい
ると推測されると思いますが、その境界点がはっきりしなくなっているようで
す。最近、衣服の中に造形的な要素を感じることが出来、非対称の形状や素材
感が強調されています。またダメージをわざと与えて時間をデザインの要素に
組み入れています。もともとこの企画展はコムデギャルソン-川久保玲の「服
を基本的に空間設計と捉える考え方」に触発されてスタートしました。衣服と
生活空間の関わりがこの展覧会のテーマの一つになっています。

建築はコンピューターに拠る構造計算という技術革新が、これまでに無い形状
を生み出しています。建築家は構造的に成立するという後ろ盾によって、自由
に自分の感性を表現できるようになって来ました。建築家フランク・ゲーリー
の「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」は布をまとったような形状を
しています。また坂茂の作品には紙の管を材料にした仮設住宅があり、災害時
に身を包むものとして衣服に近い印象を受けます。

建築と衣服は独創性を求めれば求めるほど、お互いが融合していくように思え
ます。この展覧会はそれを感じ取り、将来に期待を込めるいい機会になるので
はないでしょうか。詳しくは下記ホームページを御覧ください。

開催会場の新国立美術館は昨年出来た新しい美術館(設計:黒川紀章・日本設
計)で、この美術館の形状も布が風を受けた様にうねった形状をしています。
話題を集めたのでご存知の方も多いのでは無いでしょうか。建物を見るだけで
も結構楽しいと思います。


スキン+ボーンズ-1980年代以降の建築とファッション
http://www.nact.jp/exhibition_special/2007/skin_and_bones/index.html





///// 02 住宅設計入門 //////

ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に関するアドバイス
をさせていただきます。

第16回のテーマは「セキュリティの手法」

防犯意識の高まりは顕著になり、それぞれのお宅で色々な工夫を凝らして対処
していると思われます。ダブルロックにしたり、合わせ硝子を使用したり、防
犯カメラを設置したりしているご家庭が増えてきました。商品として防犯グッ
ズは多く開発さていて、これらを利用してセキュリティを高めることは良いこ
とだと思いますが、それによりデザイン性が失われたり、出入りに不自由とな
ることもあり、生活に支障を来たしている要素もあると思います。防犯意識の
程度にも拠りますが、ここではセキュリティを高めると同時に建築のデザイン
を高める方法を幾つか取り上げたいと思います。

一つ目は、玄関ドアの鍵穴を無くしてしまう方法です。電気錠等の利用が必要
になりますが、侵入者は対応に苦慮し侵入の対象からはずすことになります。
鍵穴が無いドアはすっきりしていてデザイン性が高まります。さらに進んでド
ア枠を無くし、玄関ドア自体を壁と一体化させる方法もありますが、来客の対
応に困ると思います。インターホンを上手く使えば可能性はあるかもしれませ
ん。

二つ目は、表通りから目立つ位置に玄関を配置する方法です。2階に玄関をつく
り、玄関扉周囲を開放的にすれば多くの人の目に触れ侵入しにくくなります。
プラン的に居間や客間も2階に配置することになるので、開放的なパブリックス
ペースが期待できます。2階に玄関を持ってくると1階に居る頻度が減りますの
で、1階の窓にはしっかりした面格子をつける必要があります。

最後に、外部と内部の中間領域を設けセキュリティを二重にする方法です。通
りから玄関ポーチに入る部分にしっかりした施錠をして、玄関扉は框戸を用い
硝子張りにして見晴らしを良くします。内部から見透かされますので、侵入者
にとって手間がかかる上監視されている意識が働き侵入をためらいます。以前
紹介させていただきましたが、外部と内部を繋ぐ中間領域は豊かな生活事象を
創り出します。この場合、開放的な玄関扉を使用できますのでより良い効果が
期待できるのではないでしょうか。

自分の生活を守る為に、かたくなな防御も必要になることもあります。しかし
仕方がないものとせずに、工夫をしてセキュリティを踏まえつつ魅力ある住宅
を創っていただきたいと思います。





///// 03 マンションの完成まで //////

マンション設計の依頼から竣工にいたる出来事を、設計事務所の立場から紹介
させていただきます。マンションはどうやってできるのか、どれだけの作業が
必要なのかご理解いただければ幸いです。


   No16 「工事監理-躯体図作成」

建物を造るとき、木造でも鉄筋コンクリート造であってもまず構造部分を造っ
てその後仕上げをしていきます。マンション建設に於いてもまず躯体工事とい
う構造部分を造る工事があります。基礎から屋上の立上がりまで、コンクリー
トで造る部分が躯体工事の範囲です。以前基礎工事の施工図作成のお話をさせ
ていただきましたが、基礎部分は主に設備関係の調整が重要視されますが、実
際に入居する部分の躯体は仕上関係の調整が加わってきます。

住戸部分の躯体図を作成するには、室内の仕上げ、設備の配置、窓の正確な位
置、外壁の仕上げ厚等が全て決まっていないと描くことは出来ません。コンク
リートを打設してしまえばもとに戻すことは出来ませんから、慎重に作成しな
ければなりません。

まず外壁がタイル貼の場合、タイル割といって半端なタイルが出ないように割
付を調整します。場合によっては外壁の厚さを調整することもあります。また
コンクリートの伸縮に拠るひび割れが発生しないように柱の両側と3メートル
位のピッチで壁にも伸縮目地を設けます。それらがきれいに外壁面に並べられ
たら、タイルの桝目に合うようにサッシを配置します。アルミサッシは一つ一
つ寸法を指定することが出来ますので、サッシとタイルがぶつかるところで半
端が出ないように寸法を決めていきます。

室内からは設備関係の配置が重要です。コンセントの位置や照明の位置は配線
を埋め込むために正確な位置が決まっていなければ躯体図を作ることは出来ま
せん。また排気ダクトのスリーブ(外壁に開ける穴)の位置も天井の形状等が
決まっていないと決めることが出来ません。そこで総合図といって平面詳細図
に設備図を落とし込んだ図面を作図してもらいます。その図面を基に設備に必
要なスペースと、壁や天井の位置の調整をします。間仕切り壁の厚さが正確に
出ていないと寸法がずれてしまいますので、ボードの厚さや断熱材の範囲まで
正確に作図します。同時に設計時に設定した設備機器やドア等の位置が問題が
無いかチェックをします。また外壁に開けるスリーブは出来れば外壁タイル目
地に合わせるように配置します。総合図が完成したら、それを基に躯体図を完
成させます。

躯体図は建物を造る情報の殆どが組み込まれている重要な施工図です。さまざ
まな工程を得なければ躯体図は完成に至りません。設計事務所は躯体図を描く
ことはありませんが、寸法を決め出来上がった躯体図をチェックします。型枠
の加工等で先行してチェックしなければならないこともありますが、1回のチ
ェックバックで済んだことは無く、大概3回以上図面をやり取りすることにな
ります。

躯体工事は地下と1階に時間をかけますが、2階以上は同じパターンが続くので
急にコンクリート打設ピッチが早くなってきます。ですから基礎工事の段階か
らしっかり準備をしなければなりません。躯体図の良し悪しが建物の完成度に
直接結びつきます。精度の高い躯体図が出来ればその後の工事はスムーズに進
行します。

次回は中間検査を紹介させていただきます。





///// 04 建築の本棚 /////

建築に関わる仕事をしている以外の方でも、楽しんでいただける建築関係の本
を選んで紹介させていただきます。

今回紹介させていただく本は

    
       「建築家への道」
                          吉田研介 編
                      TOTO出版  1325円+税

この本は、編者である吉田研介氏が自分が教える学生に、アトリエ事務所を開
き個性的な活動をしている若手建築家7人を呼んで話を聞かせた内容を本にま
とめたものです。7人の建築に対する思いが伝わってくる内容となっていて、
恐らく建築の仕事に携わっていない方がお読みになれば建築家に対するイメー
ジが大きく変わると思います。

この7人の方々はどんなにお金が無かろうと、時間が無かろうと、人に騙され
ようと負けずに逃げずにプライドを失わず自分の信じる道を進んでいます。し
かも生活を維持する部分の知恵も能力も備えていて、人に迷惑を掛けずに何と
かやってきたところが魅力的です。一応お断りしておきますが、若い頃の話を
しているので苦労話が多く出てきますが、現在では皆さん一流の建築家です。

7人の方々に共通するのは良い指導者に巡り合っているということです。賢者
は賢者を呼ぶということもあるのでしょうが、つくづく出会いの大切さを感じ
させられます。また建築を最優先する生活スタイルも共通していて、建築を手
段にしていない。何かの為に建築をしているのではなく、建築をする為に生き
ているのです。そしてそれが楽しくて仕方が無いという。組織に所属していて
はなかな感じることのできないことではないでしょうか。

ほとばしる建築に対する情熱を感じ、私自身大変に影響を受けた本です。未だ
に苦しいとき読み返すと生き返ります。タイトルも装丁もいまいちセンスを感
じませんが、内容は本当に素晴らしいです。是非御覧ください。


※好評を頂いた「建築の本棚」は今回で一旦中断します。また紹介したい本が
 溜まりましたら再開させていただきたいと思います。





///// 05 師の言葉 /////

私が実際に接した建築家や書籍のなかで印象に残った言葉を紹介させていただ
きます。


    「問題が生じたら実現可能になるまで解決案をたどる」

学生のとき、千里ニュータウンの開発に携わった先生に講義の中で言われた言
葉です。都市計画の授業でしたが、直接人の役に立っている学問と当時感じ、
興味を持って講義を聴いていました。

いまから40年ぐらい前、日本で初めての近隣住区方式のニュータウンの開発の
話を中心に講義をされていました。計画的に街はつくられ、問題は無いと予測
していても、初めての試みなので、幼稚園が足りなくなったり、葬儀屋が無か
ったりといった問題が毎日のように生じていたそうです。そのとき先生はどう
したらその問題が解決するかを考え、その回答をAとします。もしAが実行でき
なければ、どうしたらAを実行出来るか考えた答えをBとします。そしてまたB
が実行できなければ、どうしたらBを実行出来るか考えた答えをCとします。同
様にCが実行できなければ・・・・・。といったように実行できる回答案が出
てくるまで解決案を探していったそうです。そうすると解決不可能と思えた問
題が、身近な問題と繋がって日常的な努力によって問題解決に至ったというこ
とでした。

つまり綿密な予測の積み重ねによってつくられたニュータウンから発生した問
題を、手が届く問題まで解体して、再度積重ねれば問題は解決するということ
です。恐らくこれは何事にも通じる手法であると思います。当時私は若かった
こともあり、この手法をとれば出来ないことは無いと感動したことを思い出し
ます。先生は学者タイプの優しいそうな紳士だったので、余計に動ぜずコツコ
ツと積重ねることの大切さを感じました。



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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。

 住宅の設計依頼は勿論、設計事務所の敷居が高く感じているお客さまに対し
 てメニューを用意しています。

1.お客様が書いたスケッチから設計図を作ります。工務店に設計施工を任せて
 しまう場合図面があるとお客さまの意図が明確に伝わり、自分の理想に近い
 形で家創りが進められます。

2.工務店に全てを任せてしまうと工事が進むうちに不安になることや、疑問点
 が出てくると思います。そのような場合のアドバイスを行います。

3.マンション購入の際、フリープラン等のオプションがある場合に図面を作成
 し、お客様の理想に近い空間を作るお手伝いをします。

その他、誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指してお
りますので是非ホームページをご覧ください。

                    http://www.commonplace.jp/
                      
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【発 行】コモンプレイス スタジオ   commonplace studio
【編 集】池澤 雅弘           masahiro ikezawa
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