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■ メールマガジン・・・・・・・バックナンバー第051号
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・・・これからの住宅設計・・・ 第051号(2010.08.02)
建築設計者の立場から住宅を考えるヒントを提供します。
published by commonplace studio
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「これからの住宅設計」は戸建住宅や集合住宅(マンション)またそれらの改
修等、生活空間を作ること全般を題材にして、設計者の視点から住宅の在り方
を読者の方々と一緒に考えてゆくメールマガジンです。
建築設計、住宅設計に関わる話題を取り上げ、住宅設計者としての経験や理念
をお話することにより、家創りについて違った視線で考える機会を提供するこ
とを目指しています。
読者の方々が住宅を設計する過程に触れることにより、家創りについて何か新
しいことを発見していただければ幸いです。
コモンプレイス スタジオ
代表 池澤 雅弘
※バックナンバーは下記ホームページでも御覧いただけます。
誤字等も含めて、記事の訂正が必要な場合は、ホームページ上で修正させて
いただいています。
http://www.commonplace.jp/
■目次
01 コラム -----------------「勉強の出来る場所」
02 住宅設計入門--------------No.51 天空率の利用
03 建築材料めぐり------------No.24 まとめ(最終回)
///// 01 コラム //////
「勉強の出来る場所」
先日、ラジオを聴いていたら速読のインストラクターが話をしていて「人が本
当に集中しているときは一つのことに固執せずに身の回り全体を受け入れてい
る状態である」という話をしていました。そして速読は一つ一つの字を目で追
いかけるのではなく、ページ全体を見た瞬間にそこに書いてある内容を把握す
るトレーニングを積むことにより習得できると言うことでした。また、このト
レーニングを積むことにより集中力が高まり、人の能力を最大限に引き出すこ
とができるという話をしていました。
このインストラクターにリスナーから「子供が勉強するのに適した場所はどこ
か」という質問が来てリビングルームと答えていました。子供は一人で部屋の
中で勉強するよりもいろいろないろいろな情報が飛び込んでくる中で勉強した
方が脳が活性化してよい結果をもたらすということでした。私は別のメディア
からの情報で、東大の合格者が子供の頃どこで勉強していたかというアンケー
ト結果でリビングルームが一番多いということを知っていました。
しかし、この結果はリビングルームで勉強する子供はご両親やご兄弟、ご姉妹
が一緒に勉強をして教えてくれる環境にあるご家庭に育った子供の成績がよい
と言うことだと私は理解していました。自惚れていると思われるかも知れませ
んが、多分私の考えの方が正しいと思います。廻りの大人がテレビをみて大笑
いしているそばで子供が勉強しても身につくとは思えません。インストラクタ
ーは速読の普及のためにこの結果を利用したような気がするし、そのときの思
いつきで言っただけかもしれません。ただ、一人部屋に籠もるよりも回りに人
が居た方が気持ちが高揚したり、安心感があったりするので結果的に集中力が
高まるということはあると思います。
子供に個室を与える時期に悩まれる方は多いと思います。住宅を設計するもの
としてアドバイスさせていただけば、空間よりも時間を重視し、室よりも場を
重視することだと思います。小さい時から個室を用意しても良いけれどなるべ
く家族でリビングで過ごす時間を増やすことが大切ではないでしょうか。独立
心が芽生えてくれば自然に自分の部屋に居る時間が増えていきます。また特定
の機能を持った室という考え方よりも家族が集まりやすいところが集う場所、
寛ぎやすいところが寛ぐ場所、勉強しやすいところが勉強する場所といった考
え方も大切だと思います。ここは何をする部屋と決め付けない方が良いのでは
ないでしょうか。
///// 02 住宅設計入門 //////
ここでは、一般の方を対象に毎回テーマを決めて建築設計に関するアドバイス
をさせていただきます。
第51回のテーマは「天空率の利用」
天空率という言葉をご存知でしょうか。戸建住宅では比較的使われることが少
ないとおもいますが、マンションの設計では大変よく使われています。道路斜
線、隣地斜線等、斜線制限の緩和規定の評価基準です。道路斜線を例に説明さ
せていただきますと、計画敷地の前面道路の計画敷地と反対側の境界線から
360度天空を見上げたとき見えてくる計画建物以外の水平投影面積と想定半球
(全体)の水平投影面積の比(全体-計画建物/全体)です。とても解りにくい
かも知れませんが平たく言うと計画建物に隠れない空の比率です。数値が大き
い方が建物に影響を受けない空が大きいことになります。
平成15年の建築基準法の改正により条件が整えば斜線制限が除外となる法律が
出来ました。斜線制限ギリギリの建築物を想定してこれを適合建築物とし、適
用範囲内において適合建築物の天空率よりも計画建築物の天空率の方が大きけ
れば斜線制限が適用除外となります。斜線制限は境界線に面する部分一律に規
制がかかるので一部突出して高い部分があると法規違反となっていました。こ
れを境界線に面する部分全体で考えることが出来るようにしたのが天空率によ
る斜線制限緩和です。一部高い部分があっても他に低い部分があれば充当でき
るわけです。
天空率による斜線緩和は高層の建物ばかりでなく、低層住宅の設計にも恩恵を
与えます。斜線により屋根の形状を変えざるを得なかったり、2階バルコニー
に庇が付けられなかったり、セットバックしなければ3階建が造れなかったり
した場合に天空率による緩和で解決できることがあります。設計者は天空率に
より設計の自由度を手に入れたといえるでしょう。
建築主の立場からすれば、斜線に掛かることを理由に形状を決定する設計者が
いたとすれば天空率による検討を求めることが出来ます。ただし、天空率を利
用するにはパソコンを使わなければ不可能ですし沢山の図面を書かなければい
けないので結構手間がかかります。良好な関係を保つためにも計画が流動的な
時点に於いては天空率を使った場合どうなりそうか意見を聞く程度にしていた
だいて、具体的になってからしっかり検討してもらう方が良いと思います。
///// 03 建築材料めぐり //////
No24(最終回) 「まとめ」
長い間連載させていただいた建築材料めぐりも今回が最終回です。最終回はま
とめとして建築材料と建築の関係を考えてみたいと思います。
沢山の建築材料を紹介させていただきましたが、昔よく使っていたメーカーが
無くなっていたり、逆に20年以上も前の建材がそのまま残っていたり様々な印
象を受けました。建材は人の生活に密接していて、基本的には急激な変化はな
いものです。変化を生じさせる要因は技術の進歩とデザインと法規制です。最
近急激な変化を遂げたのが便器です。少量の水で洗浄できる技術が進歩したた
めにタンクレスの便器が開発されました。洋式の便器が普及してから長い間、
同じような形状をしていましたが今までに無いデザインの便器が次々と生まれ
ました。また、法律の改正に従ってシックハウスに対応した材料はあっという
間に普及しました。今後は環境問題に関係した材料の更なる進化が予想されま
す。
建築家と材料の関り方も変わってきました。以前はは多くの建築家がキッチン
をデザインしていましたが現在ではシステムキッチンを利用することが主流で
す。浴室もユニットバスを利用することが多くなりました。清潔でデザインも
よく、最新の技術を享受出来るようになったので手間隙かけて創る必要性がな
くなったのかも知れません。少し残念な部分もあるのですが、創造から選択の
時代に移りつつあります。しかしその分建物全体の構成や意匠に時間を掛ける
ことも出来るので建築家にとって不幸な出来事とはいえません。また技術の発
展のおかげで今まで出来なかったことが出来るようになりました。ガラスウォ
ールや屋根材、防水材、高強度コンクリート等の進化が解りやすい例だと思い
ます。東京スカイツリーも材料の進化が無ければ創ることは出来なかったはず
です。建材の進化に伴い世の中の建築が姿を変えている事実があります。
良質の材料を集めたからといって良い建物が出来るわけでは有りません。
精神的なバックグランドと創造的な意欲がなければ個々の材料に生命は宿りま
せん。今後も人と建材の良い関係が続くことを願ってこの連載を閉じたいと思
います。ご愛読ありがとうございました。
尚、バックナンバーはホームページに参照しやすいようにまとめてありますの
でご参考にしてください。
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■コモンプレイス スタジオは建築士事務所です。
小さな事務所ですが打合せスペースを設けましたので住宅設計について何か
ご相談がある方は是非お越しください。(相談は無料です。)不在のことも
多いので、おいでくださる方は事前に電話またはメールでご連絡お願い致し
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で健康的な住宅をご依頼主に提供します。
ご依頼主との対話を重視し、アイディアを提供し着実に理想の家創りを進め
て行きます。
誠心誠意をモットーに豊かな日常空間と建築文化の創造を目指しております
ので是非ホームページをご覧ください。
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【編 集】池澤 雅弘 masahiro ikezawa
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